NEC、三洋電機、シーエスアイ(CSI)の3社は6月25日、地域医療連携ソリューション事業において協業することを発表した。
NECとCSIでは、電子カルテシステムと地域医療連携ネットワークサービス「ID-Link」を接続して、地域における中核病院や専門病院、療養型病院の診療情報を共有し、情報を公開する「地域医療連携ソリューション」を2009年7月から販売している。
これまでの地域医療での情報連携においては、中核病院や専門病院などの病院が診療情報を公開し、診療所は閲覧のみという利用方法が主だった。しかし昨今、生活習慣病の治療や在宅医療等をより効果的に行うために、診療所も診療情報を公開し、病院が診療所の診療情報の閲覧や診療所間の情報を共有したいといったニーズが高まりつつあるという。
今回の協業は、これら市場のニーズに対応するため、NECとCSIが推進している地域医療連携ソリューション事業に、三洋電機が新たに参画するもの。診療所向け電子カルテシステムで国内実績を有する三洋電機の参画により、診療所による診療情報の公開や閲覧の範囲が大きく拡がるとともに、情報共有も迅速かつ低コストで実現できるという。
また、3社はこれまでも、電子カルテシステムの開発と販売において連携を進めてきている。NECと三洋電機は2001年より病院向けの情報システムで提携し、システムの相互供給やインターネットを介した保守運用サービスを共同展開。三洋電機とCSIは2004年より、医事会計および電子カルテ、接続ソフトの開発で提携し、事業を進めてきた。今回の協業によって3社は、これらの協業実績を踏まえてさらに関係を強化し、新たに地域医療連携ソリューション事業を展開し、拡大を図るという。
地域医療連携ソリューションは、電子カルテシステムと、地域医療連携ネットワークサービスID-Link、電子カルテシステムをID-Linkに接続して診療情報を公開するのに必要な機能をあらかじめ組み込んだ専用サーバ(診療情報公開用サーバ)の3つで構成される。電子カルテシステムは、大規模病院向けにNECが「MegaOakHR」、中小規模病院向けにCSIが「MI・RA・Is シリーズ」、診療所向けに三洋電機が「Medicom-DP/X、Medicom-HR」をそれぞれ提供する。
ID-Linkは、様々な医療施設に分散されている診療情報を患者番号(患者ID)で統合して共有するサービスで、エスイーシーが提供している。各医療施設内の専用サーバに格納された診療情報は、同社サービスセンターを経由して閲覧できる。さらに、サービスセンターには診療情報は保管されないため、情報セキュリティの面でも安心で安全な仕組みとなっているという。
NECは、ID-Linkの診療所向け価格を見直し、2010年10月より従来比約40%の低価格での提供を開始するという。また、診療所がID-Linkにセキュアに接続するための「オンデマンドVPNセットプラン」も新たに提供開始する。
ID-Linkサービスの新価格は、診療所向けが単体プランで月額利用料2980円から、オンデマンドVPNセットプランが月額利用料3960円から。また、病院向けでは、一般病床300床未満の場合で月額利用料5万円から、一般病床300床以上の場合で月額利用料8万円から(価格はいずれも税別)となる。
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