メガビットではなく、ギガビットの速度で通信できる無線デバイスを一般消費者市場向けに開発することが可能になった。
Wireless Gigabit Alliance(WiGig Alliance)は米国時間5月10日、60GHz帯のマルチギガビットワイヤレステクノロジが加盟各社で利用可能になったことを発表した。これにより、加盟各社は、この新しい高速通信仕様を利用した製品の開発に乗り出せる。
60GHzという未使用の帯域を利用するWiGig規格は、理論的には最大7ギガビット/秒の速度を実現できる。この速度は、現在のWi-Fi規格802.11n(Wireless N)より10倍以上速い。
2009年12月に策定を完了したWiGig規格は、既存のWi-Fiテクノロジに置き換わるものではなく、それを補完することが目的だ。WiGigは従来のWi-Fiより高速だが、通信可能な距離は短くなる。WiGig規格の速度は、ビデオやオーディオのストリーミングなど帯域幅を大量に消費するタスクに適した標準となるものと期待されている。これはすなわち、一般消費者がこれを利用して、リビングルームやホームオフィスにあるPC、テレビ、Blu-rayプレーヤー、ゲーム機、携帯端末などホームネットワーク上のさまざまなデバイスを、相互に接続できるようになることを意味する。
この高速無線規格をより普及させるため、WiGig Allianceは同日、異なる無線デバイス間の相互接続を保証する目的で設立された非営利のワイヤレス業界団体、Wi-Fi Allianceとの協力に合意したことを発表した。両団体は技術仕様を共有し、認定プログラムを作成して60GHz帯をサポートする新たなWi-Fi製品の開発の促進を図るという。
WiGig Allianceはまた、2.4GHz、5GHz、60GHzという3種類の帯域幅を利用できるWiGig製品の開発をメーカー各社に期待している。既存のWi-Fiテクノロジは2.4GHzと5GHzの帯域を利用しているため、3種類の帯域に対応したWiGigデバイスとなれば、現在のWi-Fiデバイスと共存できるようになる。
「仕様が完成し発行した今こそ、相互運用性と認定を通じて、すばらしいユーザー体験をより広めていくことに照準を合わせる段階に入った。Wi-Fi Allianceとの協力によってマルチギガビット機能をWi-Fiテクノロジのポートフォリオに加えられることを喜ばしく思う」と、WiGig Allianceの代表で議長を務めるAli Sadri氏は声明の中で述べている。
異なる無線デバイスを高速で接続する必要性を訴える目的で2009年に設立されたWiGig Allianceには、Intel、Dell、Microsoft、Nokia、サムスンなどが理事として名を連ねている。また、ネットワーク製品大手のCisco Systemsも、最近理事として加入した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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