総務省統計局のデータでは、2009年10月1日時点の日本人の総人口(概算値)は1億2752万9000人、また社団法人電気通信事業者協会(TCA)の発表する携帯電話端末(PHS含む)の総契約数は1億963万3000件となり、当該データのみで日本国民の携帯電話契約率を算出するとおおよそ86%となる。
では、今後も携帯電話の契約率は伸びが見込めるのであろうか。おそらく、業界関係者やマーケターもほとんど同様の意見をお持ちだということを十分に認識した上で筆者の私見を述べるが、その可能性はほぼ「0」である。
というのも、日本の生産年齢人口(15歳から64歳の人口)にTCAの発表する携帯電話端末の総契約数を掛け合わせると携帯電話契約率は133%となり、1人当たり1.3台契約していることになる。
中学生未満は個人名義での携帯電話契約が不可能な環境のために、親権者名義での契約となる点を考えると、前述した1.3台契約という値は多少なりとも誤差を含んだものということは明らかではあるが、いずれにせよ携帯電話契約者数は今後の伸びが期待できず、賢いプロモーションを推し進めなくては、自社サイトのユーザー数の減少は避けては通れない市況であるということは言うまでもない。
そこで今回は、かつての静的なページでは無く、Flashを実装したインタラクティブなモバイルサイトによるプロモーションについて、SEOの切り口で何ができるかについて触れていきたい。
そもそも、検索エンジンはhtmlソースコードに記述されたテキストやリンクを読み取り、様々な数式を組み合わせてサイトの評価を算出し、自然検索結果に降順表示をするという仕組みで動作している。ただし、Flashで生成されたページを読み込ませることができない。読み込ませることができないと、検索結果に表示されずに新規ユーザーとの接触機会の最大化をはかることができない。
検索エンジンンが実際に認識している要素は、キャッシュを見ることで確認できるが、モバイルの環境では確認することができないために、Google検索によるPCサイトを例に説明する。
検索結果の「キャッシュ」をクリックし、さらに「テキストのみバージョン」をクリックすると検索エンジンの判読可能な要素のみが表示される。そこにはhtmlソースコード上に記述されたプレーンテキストやアンカーテキストが表示される。
ところが、Flashコンテンツのキャッシュには何も表示されない。こうしたコンテンツにおいては、検索エンジンがページの情報を読み取り、そのテーマ性を推し測ることができない。よって、検索結果に表示されにくいサイトとなってしまい、結果的に新規ユーザーとの接触機会損失が発生してしまうことになるのだ。
しかしながら、現在のモバイル市場にあっては端末のスペックが日進月歩の状況であるため、流通している端末の多くはFlashに対応している。ユーザビリティの非常に高いこの技術は、PVや売上向上に直結することが多いために、ECサイトを中心とした幅広いサイトへの採用が非常に増えている。
では、「携帯電話ユーザとの新規接触機会最大化」と「ユーザビリティ向上におけるPVや売上向上」を両立することは不可能なのか。答えは“可能”である。
Flashコンテンツと対になるhtmlページを作成し、双方にFlashコンテンツの閲覧かhtmlコンテンツの閲覧かを選択させるリンクを設置する。こうすることで、検索エンジンに判読可能なhtmlコンテンツがインデックスされ、検索結果に表示され、検索結果からアクセスしてきたユーザーは、よりユーザビリティの高いFlashコンテンツへアクセスしていくことが可能となるのだ。
ただし、ボトルネックとなる課題が生じる。それは、コストの問題だ。単純計算をしてみるとコストは2倍、またはそれ以上にかかってしまうケースも少なくない。大規模に取り組もうとすればする程、時間もかかってしまうのだ。
では、こうした課題はどのように解決可能か。かつては、前述の通り、大規模な取組みは非常に難しいとされ、二の足を踏んでいたサイト担当者で溢れていたが、SEOベンダーとFlashコンテンツ生成ベンダーのパートナーシップによって技術協力がなされ、双方のクオリティを保ちながらコストと時間を大幅に削減することが可能になっている。
モバイル市場全体の技術革新に伴って、こうしたプロモーションに関する技術も成長している。サイトプロモーションを考える際はこうした変化を常にキャッチアップし、目標達成のための最適な技術を取り入れるべきである。
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