実験的な48コアの「Single-chip Cloud Computer」(SCC)の発表によって、IntelはまるでGoogleのようになった。
そうは言っても、そのチップが、Googleがデータセンターを構築するのと同じように設計されていると言いたいわけでもないし(非常に興味深いことに実際はそうであるが)、Intelがその新しいアイデアによってほぼ独占的なサプライヤーになろうとしていると言いたいわけでもない。Intelは既にそのような地位にあるし、まだ実地で試されていない新しいアイデアを提供することにかけての現在のリードを棒に振るつもりもない。
SCCがGoogleのクラウドに相当するハードウェアとなった重要な前進は、Intelが対象ユーザーにSCCを事実上無料で提供したことだ。この場合の対象ユーザーとは、コンピュータ研究者だ。これほど複雑で製造数の少ないチップは、開発コストをカバーしようとすれば莫大な価格になる。Intelが研究者に一部支払いを求めたとしても(Intelがそう言ったわけではないが)、その金額は経費を回収するにはほど遠いだろう。しかし、「Google Wave」と同様、SCCのIntelにとっての価値は、将来登場するものに備えて、SCCがどの程度うまく機能するかを見いだすところにある。
そしてGoogle Waveのように、SCCの価値は、しっかりと確立したアイデアの中から、物事を行う新しい方法を作り出すことにある。ある角度から見ると、SCCに新しいものはほとんどない。プロセッシングコアは初期の「Pentium」によく似ているし、通信の方法はメッセージパッシングで、これはコンピュータそのものと同じくらい古いアーキテクチャ概念だ。
これは、大きな強みだ。Intelは分かりすぎるくらい分かっているが、非常に巧妙な新しい設計が、まさに巧妙であるがために人々に理解されないのなら、それを生み出す意味はどこにもない。Intelは幾度となく、コンピューティングをありふれたメインストリームから引き離そうとして、根本的に違ったアーキテクチャを生み出してきた。そして幾度となく、それらは無視されてきた。今では「Intel iAPX 432」や「Intel i960」を覚えている人はほとんどいないし、「Itanium」はコンピュータの歴史において脚注以上のものになることはなさそうだ。
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