これは予想されていたことだった。かつてはIT業界の台風の目であった米Silicon Graphics(SGI)が破産を申請し、破格の安値で資産を売却することになったのである。このことは格好の話の種となることだろう。
SGIがわずか2500万ドルという金額でRackable Systemsに買収されるというニュースの業界における重要性について、誰も彼もが自らの意見を口にしていることだろう。
だが、これはそれほど複雑な話ではないのである。SGIは、ITという天空を舞い、つかの間光り輝く彗星のような存在であったのである。しかし、SGIは、NovellやBorland、WordPerfect、Digital Equipment、Wang、Data Generalといった、かつては高く飛翔していたものの勢いを失い、地球に激突した企業(こう書けばイメージは掴んでもらえるだろう)のうちの1社にすぎない。SGIは、Intelの「Itanium」を大々的に採用するといった失敗を犯したのだ。また、同社の鮮やかな色目の(高価と読み替えてほしい)コンピュータを置き替える低コスト機の出現に対するマネジメントの対応も遅かった。ハーバードビジネススクールのClayton Christensen教授が、ディスラプティブ技術の影響について執筆した自らの書籍にもう1章追加する気になったのであれば、SGIはその典型例となるだろう。
しかしどうしたものか、特にデトロイトを中心とした自動車産業の窮状を考えると、筆者はそれほどショックを感じることができないのである。真面目な話、誰がGeneral Motors(GM)が(GMがだ!)破産の危機に直面すると予想できただろうか?これは、ものごとの根幹を揺るがすほどのショックである。
GMが米国製造業界における象徴的な存在であった一方、SGIは一時期、テクノロジ業界という天空における導きの光だと考えられていた。しかし両社の運命は、十分にパラノイアではない企業の運命について説いたAndy Grove氏の正しさを十二分に証明するものとなった。以下の一節は、同氏が1996年に書いたものだが、ここで採り上げる価値があるだろう。
「(中略)ことビジネスに関して言えば、私はパラノイアの価値を信じている。ビジネスの成功には、それ自体に破滅の種が含まれているのである。あなたが成功すればするほど、あなたのビジネスに群がる人々が増え、何も残らなくなるまで、そういった人々がどんどん増えていくのだ」
Grove氏の言葉は正しく、SGIは見事にそれを証明しているのだ。SGIのこの一件に関するニュース記事は、プリンタで印刷し、IT企業のありとあらゆる部屋に貼っておくようにすべきである。シリコンバレーには有名な慢性の自己陶酔病がはびこっているため、この一件が少しでも影響を与えるかどうか定かではない。しかし、筆者の楽天的な部分は、途方もなく大きな自尊心を持っている人でも、すべての栄光は永遠ではないということを知っているはずだと信じている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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