ASUSが2008年1月に発売した「EeePC」を皮切りに、日本国内でも続々と登場したネットブック。当初は非常に割り切ったスペックで、よほどの上級者でないと手を出せないものだったが、ストレージの容量も増えるなど、ほとんど支障なく使えるスペックの製品も登場した。いまやノートPCの1ジャンルとして完全に定着した格好だ。
今回は、SSD編に続き、HDD搭載モデルを見ていく。
家電やデスクトップPCなどと同様に、ネットブックでも販売店オリジナルモデルが複数登場している。最近の例では、大手PC販売チェーンのPC DEPOT向けに、ソーテックのネットブックの色違いモデルが投入されている。OZZIO「AXD112」はSOTECの「DC101」とまったく同じ仕様だが、ボディカラーがグリーンとなり、他のネットブックにはないカラーとなっている。
また、ヤマダ電機は傘下のKOUZIRO(旧:フロンティア神代)の白いボディのネットブックを販売する。10インチ液晶、HDDを搭載して発売当初から4万9800円と、他よりも若干安値に設定した。先行するASUSやAcerに比べると作りこみが甘い印象を受けるが、価格、つや消しのホワイトボディは他にないボディ外装だ。
そのほか、ASUSの「EeePC 1000」シリーズは、一部販売店向けにワイヤレスの仕様をダウングレードした機種を、若干値を下げて売っている。Everexの「CloudBook CE1221J」は、「CE1220J」という付属品が異なるモデルがある。
現在、ネットブックのメーカーは、ASUSやMSIをはじめショップブランドPCのパーツとして使われるメーカーが多く参入していることもあり、販売店オリジナルモデルの登場も驚くべきことではない。購入時には、型番や仕様によく注意し、購入したものの見込んでいた仕様と違っていたということのないよう、十分に注意したい。
IntelのAtomプロセッサの登場以来、ネットブックのスペックはほぼ均一化されている。中にはAtom以外のCPUを使ったPCもあるが、Atom N270を搭載し、液晶は約10インチか8.9インチ、HDDは120〜160Gバイト、1Gバイトメモリという仕様はほぼ統一されている。そのため、どれを買っても同じように見える。
しかし、カタログのスペック表に出ない部分、たとえば液晶画面の質、キーボードの作りや配置、タッチパッドの使い心地、ボディの持ち運びやすさなどはピンからキリまである。
ネットブックは低価格ゆえ、低コストで完成度を高められるメーカーの技量の差が顕著に出る。実際にメーカー間の差が少なくない。キーボードやボディの作りこみは、コストに左右される部分でもあり、メーカーや機種によってノウハウの差が大きく出る点となる。しかも買ってしまったら、後から交換できる部分ではない。
また、小型化のためキーボードの配置が強引なものが一部にある。それがユーザーに合えばよいが、いつまでたっても慣れずに結局使いこなせないこともある。タッチバッドの使い心地も機種ごとにまったく違う。ここもメーカーの特色が出る部分だ。この部分はよし悪しよりも、用途や、体に直接触れる部分で個人差が大きいため、キーピッチのmm数だけにとらわれず、絶対に現物に触って確認すべきだ。
持ち運びを重視するなら実際のサイズ、形状、重さも確認したい。カタログに掲載されるサイズは、突起物を含まない数値が多く、実際にはゴム足が大きく出っ張っていてカバンに入れにくい機種もある。中には、バッテリ抜きの重量を大きくアピールしていたメーカーもあったくらいである。
さらに、ACアダプタもチェックポイントだ。上位PCと共通化のためか、不釣り合いに大きな物が付属する機種もある。低コストのネットブックだけに低容量の専用小型ACアダプタを新設計できる機種は少ない。店頭で現物を見る際は、ケーブルをたぐり寄せてACアダプタも確認すべきだろう。
選択の際は、ある程度カタログを見比べて予習した後は、実際に展示品のある店などに足を運び、現物を確認すること。これがネットブック選びの鉄則だ。
そのほか、ネットブックにプラスαした製品もある。低価格機と同じAtom N270を搭載しながら、NVIDIAのビデオチップを別搭載、描画性能をアップしたASUSの「N10J」シリーズ。省電力のAtom Z520/Z530を搭載し、より大型の12.1液晶を搭載したDELLの「Inspiron Mini 12」もある。いずれの機種も値下がりが激しく、ハイスペックながらネットブックに近い価格帯で売られるようになったため、検討しない手はない。
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