ASUSが2008年1月に発売した「EeePC」を皮切りに、日本国内でも続々と登場したネットブック。当初は非常に割り切ったスペックで、よほどの上級者でないと手を出せないものだったが、ストレージの容量も増えるなど、ほとんど支障なく使えるスペックの製品も登場した。いまやノートPCの1ジャンルとして完全に定着した格好だ。
年末商戦のこの時期、新製品が続々と登場し、価格改定も行われている。販売店でも展示スペースが増え、最初はマニアしか使いこなせないものだったのが、2台目、3台目に気軽に買えるパソコンとして浸透しはじめている。元来、若年層への普及を目指したところからスタートしたネットブックだが、ここにきてようやく当初のユーザー層への普及が始まった。
とはいえ、実際には普通のパソコンに対してあまり安くない5〜6万円が中心ゾーンだ。光学ドライブはなく、液晶の解像度は1024×600程度と決して解像度が高いとは言えない。小ささ以外に普通のノートPCに対するメリットはあまり多くない。
それゆえ、通常のパソコンへと回帰する流れを予測した人もいたが、ネットブック新製品の登場は未だ止まらないのが現状なのだ。
IntelからAtomプロセッサが登場以来、同じCPU、チップセット、似たような液晶を使った組み合わせが続々登場している。その中でも国内メーカーでは大手の東芝、NECが相次いで参入。世界大手のDELL、HPも国内に投入、Lenovoも12月になって国内投入した。富士通は国内では上位の超小型コンピュータ「LOOX U」を発表するにとどまっているが、海外では低価格のネットブックを発表している。
残るソニーも、まだ正式には発表していないが、「VAIO New Mobile」なる製品のティザー広告を開始し、まもなく明らかになる見込み。
もはや手がけていないメーカーはほとんどないと言ってもよい状態だ。
東芝、NECの参入でネットブックが一般化したという見方もあるが、実際に両社は1製品ずつのラインアップだ。カラーもどちらもブラックだけという地味な展開にとどまる。
対して、先行したASUSはカラーバリエーション、ラインアップとも豊富、後発ながら瞬く間にシェアを獲得したAcerも1機種ながら3色展開するなどし、パソコン店の店頭では東芝、NECよりも目立つ存在となっている。
また、特に目をひきつけるのが、イー・モバイル加入とのセット販売である。イー・モバイルの加入インセンティブによってネットブック本体価格を相殺する割引で、ASUSの低価格機種では最低で100円から販売。「100円PC」として売り場に足を止めるきっかけにもなっている。
現在、販売店を見ると、ASUS、Acerが売り場の盛り上がりを牽引している印象が強く、BCNの10万円以下PCのランキングデータを見てもそう示している。しかし、Acerの参入は8月末からと、それほど長いわけではない。今後、ユーザーの心を掴む新製品が登場すれば、一気に勢力図が塗り変わってしまう可能性もあるのだ。
価格的にも手軽なネットブックの場合、さまざまな層の人が選ぶ可能性がある。いままでのPCの選択肢とは違い、ボディカラーを最初に決めるという人がいてもおかしくない。しかし、一般的な選択方法としては用途を考えてから選ぶのが大部分だろう。
まず、現在のネットブックにはストレージが2タイプある。従来ながらのHDDとSSDだ。実際に利用する上で一番問題になるのが容量で、ネットブックでのSSDは16Gバイトという機種が最大となる。HDDの場合は120Gバイトまたは160Gバイトが主流で、その差10倍近くある。
楽曲や動画を詰め込むことを考えればこの差は大きく、使い道が大きく分かれる部分でもある。
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