今年に入り、突如としてフォーカスされたPCのジャンルがある。ASUSのEee PCをはじめとする低価格小型ノートPCだ。UMPC(Ultra Mobile PC)、ネットブックなどとも呼ばれ、5万円程度で売り出され、気軽に買える価格と持ち運べる小型軽量を実現したことが人気の秘密。さらにインテルの新しい小型機器向けのAtomプロセッサが登場したことで、ブームの第2幕がスタートした。
最近では、イー・モバイルの契約とセットで購入すると、100円でEeePCが購入できたり8月中に発売予定のAspire Oneまでもが9980円で購入できたりする。ますます注目が高まっている小型低価格PC市場の中から今回は、10万円以下、1kgを少し超える程度までの製品をまとめた。
今年の初めに大ブレイクしたASUSのEee PC 4G-Xは、5万円を切る価格設定ながら、そこそこの処理性能を持ち、新デバイスのSSDを搭載していた。SSDがたった4Gバイトと容量が少ないことが、使いこなし方法を競うマニア心に火を点けてしまったとも言えよう。
しかし、マニアには人気を得たとしても、裏技を駆使しなければWindows Updateを実行すれば満杯となってしまう保存容量、800×480ドットしか表示できない液晶、作りこみ不十分な充電池性能など見劣りする点も少なくなく、一般的なユーザーに気軽に勧められるものではなかった。
ブームは一過性のものかと思われたとき、一般的な用途にも十分耐える製品が登場した。国内販売はなかったがASUSからは液晶やSSDの容量を改善した「Eee PC 900が登場、大手ブランドのHPからは5万9800円でHDDとWindows Vistaを搭載、1280×768ドットと十分な表示範囲を持つ「HP 2133 Mini-Note PC」が登場した。Dellも公式ブログで試作機を公開、レノボも社長コメントとして参入を表明した。国内メーカーも参入の噂は絶えない。
これらの製品を後押しするように、インテルから小型低価格機器向けのAtomプロセッサが登場、マイクロソフトもPCのスペックを限定してWindows XP Home Editionを継続してライセンスをすると発表する動きもあった。そこで、登場したのがAtomプロセッサを搭載したMSIの「Wind Notebook U100」、Acerの「Aspire One」、ASUSの「Eee PC 901-X」だ。
3機種とも一般的な用途では十分な性能のAtom N270(1.6GHz)を搭載、Wind Notebook U100とAspire OneはHDDを搭載しているため、アプリケーションのインストールやデータの保存にも特別な工夫をする必要がない。Eee PC 901-Xは別ドライブとなるが8GバイトのSSDが追加されることで以前より使いやすくなった。使い方に工夫さえすれば、振動に気を使わなくてよいSSDの搭載も評価できる。
また、このほか、ミニノートの老舗といえば工人舎。以前は10万円を切ったことで話題となっていたが、今では5万9800円のSAシリーズが最安機種となっている。少し値が張るが、Atom Z520搭載のSCシリーズはさらに小型のラインアップとして追加されている。
ウィルコム回線の通信機能を内蔵したPCとして「WILLCOM D4」も登場している。こちらはAtom Z520とWindows Vistaを搭載、通信機能を内蔵しているので、公衆無線LANのエリア以外の場所で、いつでも通信できる。
電池の駆動時間はスマートフォンと比較しても短いが、スマートフォンと違ってWindows Vistaが動作するため使用アプリケーションの幅が広がる特長がある。現在の機種ではHDDを搭載して標準バッテリでは約1.5時間しかもたないが、今後SSDの搭載や省電力機能のブラッシュアップにより延びる可能性もある。
何よりも、PHSの通信機能を内蔵しており、使えるエリアが広いという点はメリットだ。重さも他機種の半分となる約460gを実現している。
なお、Atomプロセッサは現在、2系統が登場しており、おおまかに言えばN270はネットブック用としてノートPCの低価格・低消費電力化を担い、WILLCOM D4に搭載するZ520はMobile Internet Device(MID)用としてさらに低消費電力を追い求めたものとなる。
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