中国のインターネットユーザーは先週、ウェブ検索の選択肢を1つ失った。しかし、そのことを除けば何ら変わったことはなく、中華人民共和国はテクノロジと威圧によって、国民が好ましくないコンテンツにアクセスできないようにしている。
数カ月にわたる戦略策定作業と交渉を経て、Googleはついに中国での検索結果検閲を中止し、Google.cnへの訪問者を香港のサーバへリダイレクトする措置を開始した。そこでは検閲されていない検索結果が表示され、法輪功や天安門、チベット独立についてのサイトへアクセスすることができる。
Googleのこの動きは崇高なものかもしれないが、オンラインとオフラインでの活動に対する制限を長きにわたって経験してきた中国の約4億人のインターネットユーザーから見れば、それで変わったことはほとんどない。
ハーバード大学のBerkman Center for Internet and SocietyのフェローであるHal Roberts氏は先週、インタビューでGoogle検索の中国からの撤退について、「中国における検閲がいかに厳格かをはっきりと思い出させてくれる」と語った。
その一方で、米国時間3月24日には不可解な混乱が起きた。GoogleのYouTubeやFacebook、Twitterなどのサイトを宛先とするドメインネームサーバ(DNS)トラフィックが、中国のいわゆる検閲ファイアウォールの内側にあるサーバへ送信された。これはGoogleに対する報復だと推測する人も出てきている。インターネットの自由をめぐる地政学的な争いにおいて、人民共和国はどこまでやるつもりなのだろうか。
Googleの中国からの撤退は、同国の検閲政策に対する極めて表立った立場表明であり、2009年後半に同国を起点として発生したと同社が主張する攻撃に関連していた。この攻撃では、Googleと「Gmail」ユーザーである人権活動家が標的になったとされている。
Roberts氏が24日、前述のDNS問題が公表される前に述べたところでは、中国の検索最大手である百度と比較すると、「Googleのプラットフォームの方が明らかに中立的でオープン」であり、Googleはそれを中国の約3分の1のウェブサーファーに提供していた。検索の質ではGoogleの方が高いと見なされている。したがって、「Googleは確かに中国のウェブサーファーに影響を及ぼしている」(Roberts氏)
しかし、実際のところ、Googleはどれほどの影響力を持っていたのだろうか。
中国のインターネットおよびメディアの専門家Isaac Mao氏が、PBSのNewsHourとのインタビューの中で述べたところによると、90%の中国人はGoogleが同国に留まろうと撤退しようとどうでもいいと思っているという。
また、雑誌The Atlanticの全国記者であるJames Fallows氏はPBSとのインタビューで、「大半の中国人には、(Googleの)決定による影響はほとんどないだろう。なぜなら、既に中国語の情報圏内で暮らしているからだ。しかし、今は重要な象徴的瞬間である」と話した。
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