ワシントン州レドモンド発--あの「CueCat」を覚えているだろうか。雑誌の読者とデジタルコンテンツをつなごうとしていた、あの風変わりなバーコードリーダだ。
どうやらMicrosoftも覚えているようだ。CueCatの鳴き声は聞かれなくなったが、デジタルスキャナを使って印刷物とオンラインコンテンツをつなぐというアイデアは有意義なものだったとMicrosoftは考えている。
「Microsoft Tag」は、「CueCat 2.0」とみなすこともできるが、特別なデバイスを必要としない。その代わりにMicrosoft Tagでは、携帯電話のカメラを使ってバーコードをスキャンし、その同じ携帯電話にデジタルコンテンツが表示される。
Microsoft Tagのタグは、ここ1年ほどで雑誌や新聞に掲載されるようになった。このタグはほかにも、名刺、商品、さらには大型屋外広告にまで付けることができる。
「これは現実世界におけるハイパーリンクだ」と、Microsoftの新興事業促進部門マーケティングリーダーMarja Koopmans氏は言う。
Microsoft Tagのタグからは、ウェブページからオンラインパンフレットや電子名刺まで、さまざまなものにリンクできる(以下の動画を参照)。例えば雑誌のGolf Digestでは、タグを使って直接YouTubeの動画にリンクし、「iPhone」などのスマートフォンで再生できるようにしている。これにより、同誌は実質的に、出版物にハウツー記事だけでなくレッスン動画を含めることができる。
タグを読み取るには、ユーザーが簡単なソフトウェアを携帯電話にダウンロードする必要があるが、Microsoftは賢明にも、基本的なJava携帯電話からスマートフォンまで、「Windows Mobile」搭載端末や「BlackBerry」、さらにはiPhoneも含め、さまざまな携帯電話機をサポートすることを決定した。
Microsoft Tagに関する取り組みは、数年前にMicrosoftの研究所で始まったが、現在は同社のごく初期段階にある事業をいくつか担当する新興事業部門に移されている。
広告主や出版社が独自にタグを作成できるため、Microsoft社内のMicrosoft Tag担当チームは信じられないほど小規模だ。
Koopmans氏は、チームのメンバー1名を交えたインタビューの中で、「チームの50%がここにいることになる」と語った。
Microsoftは、Microsoft Tagの使用普及活動に多くのリソースを投入する代わりに、技術を自由に利用できるようにして、人々が自身で試すことを推奨している。この方法の短所は、誰がどのようにタグを使用しているのかをMicrosoftが把握できない場合があるということだ。
とはいえ、使用事例の多くはMicrosoft本社の同チームに伝わっているという。Koopmans氏によると、例えば雑誌からイタリアのイエローページやアムステルダムの路面電車の駅まで、さまざまなものにタグが使用されていることが分かっているという。
しかし、ビジネスモデルは若干不明確だ。Microsoftは、リーダにもタグを作成する企業にも課金していない。
Koopmans氏は、「現在提供している基本サービスは、今後も無償だと思う」としている。ただし、Microsoftは将来、より高度なサービスについては課金する可能性があるという。同氏は「われわれは慈善団体ではない」と付け加えた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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