Mozilla Foundationは、今後リリースする「Firefox 3.7」に数多くの機能を組み込もうとしている。しかしMozillaは、その機能のいくつかを、計画通りにメジャーアップデートで導入するか、あるいはそれより多少早く、現在のブラウザのアップデートとして書き換えるかと悩み始めている。
プログラマーのBenjamin Smedberg氏は、2009年12月末にMozillaのメーリングリストで、「Lorentz」と呼ばれるバージョンについて、古いものを改造するアプローチを提案した。その後の議論で、開発者やメーリングリストの参加者は、それぞれのアプローチの戦術的なメリットを検討し、Firefoxの開発のペースを速めることが企業のブラウザユーザーに不向きかどうかを考えた。
Firefoxは、Geckoと呼ばれるブラウザエンジンプロジェクトが基になっている。ほぼ完成した(しかしやや遅れている)「Firefox 3.6」は、「Gecko 1.9.2」を基にして作られており、Firefox 3.7は「Gecko 1.9.3」を使うことになっている。現在生じている疑問は、Gecko 1.9.3の重要な機能をGecko 1.9.2に「バックポート」して、それをベースとした新しいFirefox Lorentzバージョンをリリースするかどうかだ。
Smedberg氏は、「(Lorentz)プロジェクトブランチでは、1月中ごろにベータ版に入り、3月末か4月初めにリリースできると思う」と言う。逆に、「Mozilla-Central(Gecko 1.9.3)からのリリースを行うことには、スケジュール上のリスクが多く、それに見合うメリットがない」としている。
問題となっている設計上の変更点の1つは、プラグインの独立プロセス化の実装だ。これは、Adobe Systemsの「Flash」などのプラグインを独立した計算処理プロセスに移すもので、Smedberg氏はこのプロジェクトに携わっている。この作業は、Electrolysisと呼ばれるMozillaプロジェクトの第1段階であり、安定性の向上が期待されている。ブラウザのクラッシュの多くは、Flashプログラムの問題の結果として起こるからだ。Smedberg氏が希望しているもう1つの機能は、よりユーザーの邪魔にならないブラウザアップデートプロセスだ。Mozillaがリリースサイクルを短縮しようとしていることを考えれば、特に重要な技術である。
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