チップのクロック周波数が上がるのではなく、プロセッシングコアの数が増えることによって、次に購入するコンピュータでは、ソフトウェアの実行速度が実際に上がるだろうか。これは、誰もが抱いている疑問だ。
複数のコアをうまく機能させるということについて、最も強くプレッシャーを感じている企業の1社がMicrosoftだ。Microsoftは、この問題を克服したとまでは言わないが、Windows 7はこれまでのバージョンのOSと比べて、マルチコアシステムを利用するためのより良い基盤だと考えている。
PCのマルチコア問題を解決する鍵の1つは、大型コンピュータの世界からもたらされる。前バージョンのWindowsが64のプロセッサコアを持つサーバに対応していたのに対して、Windows 7は、256ものプロセッサコアを持つはるかに大型のコンピュータに対応できる。マルチコア時代になって数年たった今では、ノートPCでさえ、わずか数年前のかなり強力なサーバと同じくらい多くのタスクを処理できる。Intelのモバイルコンピュータ向け新プロセッサ「Core i7」(Clarksfield)には4つのコアが搭載され、合計8つの独立した「スレッド」を処理できる。
MicrosoftのWindowsコアOS担当シニアバイスプレジデントであるJon DeVaan氏は次のように述べる。「プロセッサ数が64から256に増えるという変化の中で、はるかに多くなったプロセッサに対応し、優れた線形の拡張を実現することが、1つの側面だ。この変化にはあらゆる種類の難しさがある」
線形の拡張とは、プロセッサ数を2倍にするとパフォーマンスが2倍に向上することを意味する。これが実際のコンピューティングで実現されることは、ほとんどなかった。しかし、256のプロセッサ、あるいは64のプロセッサですら、4コアや8コアのPCと何の関係があるのだろうか。DeVaan氏によると、簡単に言えば、Windowsをアップデートして大型のサーバに対応できるようにすると、例えばプロセッサコアがメモリにキャッシュされた必要なデータをすぐに使えるようになることで、より小型のマルチコアマシンをよりスムーズに動作させることにも役立つという。
Microsoftがマルチコア問題の解決に手を貸すことは極めて重要だ。同社は、パーソナルコンピュータで最も広く使用されているOSだけでなく、そのOS上で実行するソフトウェアを作成するために多くの人が使用しているプログラミングツールについても責任を負っている。このため、Microsoftのプログラミングツールの次期バージョン「Visual Studio 2010」では、マルチコアの問題を軽減するための広範な試みが行われている。
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