2006年以降、GoogleがビデオサイトYouTubeに16億5000万ドルを支払ったのはなぜかということについて、観測筋の多くが頭を悩ませてきた。このたび、その答えに少し近づくことができた。
創立後18カ月の新興企業に対するこの大型買収は、テクノロジ分野の査定価格の高騰に大きな役割を果たした。YouTubeはほとんど売り上げを生んでいなかったが、全株式交換によりGoogleが支配権を持つことで、マスエンターテインメントの代表格であるYouTubeも変わるだろうと多くの人々が考えた。同時に疑り深い人々からは、Googleは決してこの金額を回収することはできないだろうという批判もあった。
Googleは、どのようにして16億5000万ドルの支払いを決めたかについて、ほとんど明らかにしてこなかったが、最高経営責任者(CEO)のEric Schmidt氏は2009年春の宣誓証言の中で、YouTubeには割増金を、それも高額なものを支払うことをいとわなかったと述べている。米CNETが調べた裁判記録によれば、Schmidt氏は買収の直前、Googleの役員会に、YouTubeに対する同氏の査定価格は6億ドルから7億ドルの間だと語ったという。
Googleの関係者は、Schmidt氏の査定価格に関してコメントを控えた。
Schmidt氏が、自身の考える同サイトの価値よりも10億ドル高い提示価格について役員会に承認を求めたのには、理由があった。同氏は、2007年にViacomがGoogleとYouTubeを訴えた著作権侵害訴訟の一環として2009年5月に行われた宣誓証言の中で、そうコメントしている。簡潔に言えば、同氏は、Googleがこれだけの金額を出さなければ、競合他社、おそらくはMicrosoftかYahooが、この人気上昇中のビデオサイトを持っていってしまうだろうと考えていた。
Viacom側の弁護士Stuart Jay Baskin氏の質問に対し、Schmidt氏は次のように答えている。「(YouTubeは)ほとんど売り上げを生んでいない企業だが、ユーザーの支持により急速に成長しており、その勢いはGoogleの製品『Google Video』をはるかに超えている。さらにYouTubeはわれわれに対し、買収される可能性をほのめかした。そこで、Googleがどういう企業であるかを考えれば、YouTubeの価値を大幅に超える金額を支払うような、競合するオファーが出てくるだろうと考えた。そこで、迅速に動きを進め、YouTubeにおけるユーザーからの支持にわれわれが確実にあずかれるよう、最終的に割増金を含めた16億5000万ドルという結論に達した」
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