Appleにとって「iPhone」アプリケーションの成功は当初から決まっていたものではなかったが、ヒットしたデバイス、成熟したソフトウェアプラットフォーム、そして世界最大級のオンラインストアを持つAppleには、競争上非常に大きな優位性があった。
「Spore」や「SimCity」などのiPhoneゲームを制作しているEA Mobileのワールドワイドスタジオ担当バイスプレジデントであるTravis Boatman氏は、「Appleは3つのすべてをすでに持っていた。この業界でそれらを築くのは非常に難しい」と語った。
しかし、この1年でAppleがiPhoneの成功のために行ったすべての取り組みについて、その将来は外部開発者の手にかかっている。Appleの最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏とiPhoneソフトウェアの責任者であるScott Forstall氏は1年前、初めてiPhoneソフトウェアの開発プロセス条件を公に説明し、iPhoneアプリケーションの驚異的な成長への道筋をつけた。これによりiPhoneと「iPod touch」は、仕事と遊びの両面で真のパーソナルコンピュータとなった。
それ以降、AppleではアプリケーションをiPhoneのマーケティングキャンペーンの中心に据え、コンシューマーとビジネスユーザーに合わせた売り込みを展開し、iPhoneアプリケーションの幅広さと厚みを強調してきた。業界他社はそれに注目し、ほぼすべての主要なスマートフォン企業が、先を争って「App Store」のようなエクスペリエンスを自社でも確立しようとしている。
それらの企業は、やるべきではないこともAppleから学んだ。見当違いの秘密保持契約(NDA)から、App Storeの条件に関する分かりにくい方針まで、iPhoneの開発者はこれまでに頭を悩まされたことが少なくない。
しかし、このプラットフォームの大成功によって、開発者の注目はプラス面に集まりやすくなった。今を象徴するiPhoneアプリケーション「iFart Mobile」を製作するInfoMediaのCEOであるJoel Comm氏は「1年前に『おならアプリを販売して25万ドルを稼げると思うか』と尋ねられたら、『そんなばかな』と答えただろう」と語った。
2007年6月の時点では、Appleは開発者にiPhoneのための開発をさせる準備ができていなかったのは明らかだったように思える。「Twitterrific」などの人気のiPhoneアプリケーションを開発したIconfactoryのプリンシパルでソフトウェアエンジニアのCraig Hockenberry氏によると、Appleの関心は、開発者がアクセスできるようにすることよりも、6月の出荷期限に間に合わせることにあったという。
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