ロサンゼルス発--Microsoftの「Hailstorm」が7年前に提案されたとき、非難が殺到したが、Hailstormと同じ概念が多く採用されている「Windows Azure」では、開発者の不安はほとんどなさそうだ。
Windows AzureでMicrosoftは、OSだけでなく、アプリケーションが動作するデータセンターおよび情報が格納されるサーバも管理する。どちらかといえば、Microsoftの管理は、同社が2001年に述べた構想よりも縮小するどころか、拡大している。
では、なぜ今回は不満の声が上がらないのか。
タイミングは大きな要因だ。ひとつには、Microsoftのイメージが、Hailstormが紹介された当時と大きく変わったことが挙げられる。
独立アナリストであるPeter O'Kelly氏は、「当時、Microsoftは『Java』およびオープンソースに対する悪の帝国だった」と述べた。さらに、Microsoftの開発コード名も不快感を抱かせるものだった。
「Hailstorm(ひょうを伴う嵐)で思い浮かぶのはわたしの庭を破壊するものであって、わたしを手助けしてくれるものではない」(O'Kelly氏)
同様に、業界も大きく変化した。企業は、企業情報が自社のデータセンターになくても大丈夫だという考えに違和感を抱かなくなっている。
「Salesforce.comがこの目に見えない壁を打ち破った立役者だ」(O'Kelly氏)
MicrosoftのコーポレートバイスプレジデントであるDavid Treadwell氏は、今日の戦略の要素はHailstormにさかのぼることができるという考えに異議を唱えていない。
同氏はインタビューの中で、「Hailstormは時期尚早だったとあなたはほのめかしているが、それは正しい」と述べた。
また、Microsoftはこれまでの経験から学んだと、Treadwell氏は述べた。
Hailstormでは、Microsoftは顧客との関係を自分のものにすることにこだわった。今では、「Federated Identity」について語り、OpenIDと連携している。
そして、Microsoftは依然として大きいものの、もはや唯一の巨大企業ではない。
O'Kelly氏は、MicrosoftがHailstormで提案したことと比べれば、Googleのビジョンの大半の方がずっと大胆だと述べた。「基本的に、彼らの目標は非常に明確だ。世界の情報をすべてまとめることであり、人は世界の情報の一部になる」
また、Windows Azureでは、データはMicrosoftのデータセンターに置かれるかもしれないが、暗号化することもでき、秘密を守るため、暗号化以外の対策を講じることができる。
グローバル企業であるTransperfectでリーガルテクノロジ担当バイスプレジデントを務めるJordan Ellington氏は、Azureでは、企業がデータのセキュリティを厳しく管理できると述べた。企業はサーバでデータを暗号化し、暗号化されたデータをMicrosoftのネットワークで送信し、クライアントで解読できる。
「私たちはMicrosoftに実際に自分たちのデータをホストさせるわけではない。データの配信に利用するだけだ」とEllington氏は述べた。というわけで、「安価なサービスのため、小企業が知的所有権の問題に脅かさされることはない」
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