Chad Hurley氏の未来像では、ビデオは今よりも人々の生活にとって欠かせない一部になる。当然、この構想の中心にあるのはYouTubeだ。
しかし、わたしはそうは思わない。
Hurley氏は自身の考えをGoogleの公式ブログに掲載し、ビデオは今後も急成長を続けると述べた。
「われわれの目標は、電話をかけるのと同じくらいアップロードプロセスを簡単なものにして、地球上の誰もが参加できるようにすることだ。この新しいビデオコンテンツは、リビングルームでも、携帯デバイスでも、あらゆる画面で見ることができる」(Hurley氏)
Hurley氏がインターネットビデオの未来にこれほど楽観的な理由は簡単だ。Hurley氏によれば、1秒間に約13時間のビデオがサイトにアップロードされている。YouTubeが政治、エンターテイメント、報道に与えている影響を見てほしい。どの大物政治家候補も、メッセージを広め、若者に影響を及ぼすYouTubeの力を無視できない。
テレビ局や映画スタジオは、許可なく番組や映画の一部をアップロードし、何百万人もの視聴者に見せている一般人と格闘し続けている。アマチュアの報道ビデオ撮影家は、YouTubeのおかげで、報道を何百万人もの人たちに発信できる力を得た。
しかし、これらの実績にもかかわらず、経営陣が認めたところによれば、YouTubeは今なお満足のいく利益を上げていない。
わたしは、YouTubeは史上最高のコミュニケーション手段の1つだと思う。通信社のフィルタを通さずに、イラクに住む人たちが彼らの生活についてわたしと話をするのを見るのは、驚き以外の何物でもない。しかし、日常的に、無数のクリップをかき分けて、視聴する価値があるビデオを見つけ出すのは、今でも困難だ。
これまでのウェブビデオの発展を評して、Hurley氏は大胆にも、「かつて『プロ』のエンターテイメント企業とホームムービーファンを隔てていたものは消滅した」と述べている。
もしHurley氏の発言の意図が、今ではどんなアマチュアでもカメラを手にして、大勢にビデオを披露するチャンスがあるということであれば、まったくその通りだ。しかし、質のレベルが同じということであれば、同氏は大間違いをしている。人々は今でも質の高いコンテンツを求めている。今でも、耳をぴくぴく動かしている見ず知らずの女性のクリップよりも、米国で最高の作家、監督、俳優、プロデューサーが手掛けた作品を見たいと思っている。
証明が必要だろうか。それならば、Huluの急成長を見てみるといい。NBC UniversalとNews Corp.が設立したこのウェブビデオポータルでは、これら2つのエンターテイメント企業を始め、大手エンターテイメント企業のコンテンツが配信されている。報告によると、HuluはYouTubeと同等の広告収入を上げているという。YouTubeがHuluよりもずっと前から存在しているにもかかわらずだ。
わたしが言いたいのは、Hurley氏の構想を実現するには、誰かがお金を支払う必要があるということだ。そして、答えが求められるのは、「リビングルームでも、携帯デバイスでも、あらゆる画面で見ることができる」というHurley氏の構想を含め、どこでも見られるビデオを求める市場が存在するのかどうかということだ。
Hurley氏は、次のモデルを気にする前に、現在のモデルを証明することにもっと関心を持つべきだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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