リビングルームをデジタル化したい。そんなとき、AppleとMicrosoft、あなたはどちらを選ぶだろうか。
2007年の1月第2週、両社はデジタルリビングルーム戦略の新しい製品を相次いで発表した。両社の狙いは、中核となる分野を足掛かりにビジネスを拡大することだ。Microsoft会長のBill Gates氏は米国時間1月7日、ラスベガスで開催されたConsumer Electronics Show(CES)において、同社のOSの機能を絞り込んだバージョンである「Windows Home Server」を発表した。写真、音楽、映像をはじめとするさまざまなコンテンツの家庭用中央リポジトリとして機能する、安価でシンプルな次世代サーバ環境を構築できるようになるという。
Microsoftの発表の2日後となる1月9日、Macworld Conference & Expo 2007の壇上に立ったAppleの最高経営責任者(CEO)Steve Jobs氏は、「Apple TV」を発表した。テレビと並べて置ける小さな箱形の製品で、これを使えば離れた場所にあるMacやPCのコンテンツをテレビで再生できるようになる。
「Appleのビジネスは、『iPod』と『iTunes』によって勢いを盛り返した。どのような手段を使おうと、彼らにできるやり方でその勢いを生かそうとするのは当然のことだ」と、Directions on Microsoftのアナリスト、Matt Rosoff氏は語る。「一方Microsoftは、確かにモバイル事業を展開しているものの、家庭内に浸透することをより重視しているようだ」(同氏)
Apple TVとWindows Home Serverは競合する製品ではない。だがそれぞれの製品に、得意分野を足掛かりに家庭全体を取り込んでしまおうという両社の姿勢を読み取ることができる。
Microsoftは、Windows Home Serverのほかにも、エンターテイメント向けの「メディアセンターPC」構想の普及にも取り組み続けている。また、同社の「Xbox」では、その本体がゲーム機以上の役割を持つようになり、映像配信が実現されており、さらにCESではMicrosoftのインターネットベースのテレビ用テクノロジであるInternet Protocol Television(IPTV)への対応も発表された。
一方Appleは、iPodでモバイルデバイス市場を完全に掌握した。Appleはこれまでに数百万のTV番組をダウンロード販売してきたが、その大部分はiPodで再生されている。そして、Apple TVボックスの登場により、待望のテレビ接続用ゲートウェイをiPodが獲得することになる。
2006年9月に開催されたイベントで、Apple TV(当時はコード名「iTV」で呼ばれた)の存在を明らかにしたJobs氏。カリフォルニア州クパチーノに拠点を構えるAppleのCEOは、「われわれが描く全体像がこれで完成することになる」と述べた。
Jobs氏はまた、「これがあれば、iTunesからダウンロードしたコンテンツを、コンピュータやiPod、リビングルームの大画面TVで鑑賞できるようになる」とも語っている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」