ユーザー参加型のニュースサイト「digg」は、今やテクノロジ系ニュースの主要サイトとなっている。ニュースバリューのある記事をユーザー自身が判断し、最新の記事の紹介と気に入った記事への投票ができる同サイトのシステムが、ウェブを隅々まで知り尽くしたギークたちに受けているのだ。
diggは、「reddit.com」「del.icio.us」同様のいわゆる「ソーシャルメディアサイト」の1つ。ところが最近、ギークたちに混じって怪しげなインターネットマーケッターが暗躍している。専門家によれば、彼らは、記事を仕込み、サイトユーザーに金を払って記事を宣伝させ、サイトのランキングを操作して自分たちのウェブサイトにリンクが張られるように仕向け、ビジネスの拡大を狙っているという。
「diggを、簡単に言うと『悪用』している人々がいる。彼らは、diggユーザーを装うなど 、リンクを張らせるさまざまな方法を考え出しては、記事のランキングを人為的に押し上げようとしている」と、diggの最高経営責任者(CEO)Jay Adelson氏は話す。
従来のニュースサイトでは編集者が掲載記事を決定するのに対し、2004年にスタートしたdiggでは、読者がニュースバリューを判断し、ウェブサイトの記事へのリンクを投稿する。ユーザーは記事を読み、内容が気に入れば「digg(投票)」ボタンを押し、気に入らなければ「bury it(ボツ)」ボタンを押す。最も多くの票を獲得した記事がサイトのトップを飾る。ユーザーは記事に対するコメントを求められるが、このコメントに対しても投票ができるようになっている。
このような、あらゆる人々が参加できるアグリゲーションサイトの特性を生かして、CNET News.comを含む多くのメディアでは、自社サイトにdiggやdel.icio.us用のボタンを追加して、読者が読んだ記事を手軽に各アグリゲーションサイトのユーザーに推薦できる仕組みを作っている。
従って、ここにマーケッターやスパマーが忍び寄ったとしても驚くには当たらない。diggで人気の高い記事はブログや各種サイトにリンクされるため、マーケッターは、自分たちのコンテンツをdiggで取り上げてもらうためにありとあらゆる手段を尽くす。ウェブサイトへのリンク数が増えるほど、サーチランキングは上がり、結果としてそのサイトが生む収益が増える。
中には、サイトの記事をdiggなどのソーシャルメディアサイトに載せることだけが目的の「コンテンツ作成サービス」を提供し、ウェブサイトに記事を売り込むマーケッターも存在する。ブログとスパムの融合と言えるこのような手口は、「スプログ(splog)」と呼ばれている。スプログの記事の見出しには、diggユーザーの興味を引きそうな「ギーク」「Apple」といったトピックが散りばめられていることが多い。
もっと巧妙で、より手間のかからない方法を使うマーケッターは、正規のサイトからコンテンツの一部をくすねて自分たちのサイトの記事にしてしまう。「リンクジャック」と呼ばれるこの手口は、「要するに、本来のサイトに向けられるべきリンクのハイジャックだ」と専門家は言う。
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