Window Vistaにはアップグレードしたいと思わせるだけの新機能がないというユーザーも、強化されたセキュリティ機能を知れば考えを変えるはずだと、Windows部門トップのJim Allchinが熱心に訴えている。
Windows XPの後継OSとなるVistaは今年末までに発売の予定だが、Microsoftはすでにこの新OSに搭載するさまざまな機能をしきりに宣伝している。Vistaには、新たに派手なグラフィックス表示機能や、洗練されたユーザーインタフェース、高度な検索機能が搭載されることになっている。ほかにも、ペン入力のサポートが改善されたり、今後の予定や新着メール、時刻といった各種の情報を表示できるWindowsサイドバーが追加されるなどの変更点がある。
Allchinによると、たとえこうした機能に魅力を感じないユーザーにとっても、Vistaは手に入れるだけの価値があるものになるとAllchinは述べ、その理由として、フィッシング攻撃やスパイウェアなどの悪質なコードに対する防御機能が向上している点を挙げた。
「安全性とセキュリティは、大半のユーザーがWindows Vistaを手に入れたいと考える最も重要な機能になる」と、Microsoftでプラットフォーム/プロダクツ/サービス部門の共同社長を務めるAllchinは、CNET News.comとのインタビューのなかで語った。「ホームエンターテイメントや専門分野が関係なくても、Vistaを使えば安心感が増し、より高い安全性を確保できる」(Allchin)
そういいながら、Allchinは、それでもVistaには利用して欲しい新機能がたくさんあると主張し、追加予定の機能を列挙した一覧表を示してみせた。同氏はとくに、Wi-Fiネットワーク経由で近くにいるほかのVistaユーザーを見つけ出し、ピアツーピア(P2P)ネットワークを確立する「People Near Me」機能を利用するコラボレーションツールのデモを行った。このツールの主な狙いは、ノートPCユーザー同士がアプリケーションやファイルを共有できるようにすることにある。
Microsoftはさらに、Vistaに搭載される新しいペアレンタルコントロール機能も披露した。この機能を利用すれば、子供がアクセスできるウェブサイトの指定だけでなく、利用できる長さと時間帯も制限することが可能になる。
これらの機能はVistaの最新プレビュー版にすべて搭載されている。Microsoftは12月にこのプレビュー版をリリースした。「Vistaには本当に数多くの機能が追加されている」(Allchin)
しかしMicrosoftがVistaに搭載したいと考えていたある機能は、一部のベータテスターの手に余るものであることがわかった。そこで同社はVistaに仮想フォルダーを追加する計画を変更した。仮想フォルダーには、たとえば「Michelleが作成したもの("created by Michelle")」「画像(images)」など、特定の検索条件に当てはまるファイルがすべて含まれ、PC上のファイルの位置に関係なくそのなかに表示される。同社は当初、ハードディスク上でのファイルの位置を示す現在のフォルダーに代えて、仮想フォルダーを搭載したいと考えていたが、この発見を受けてそれに関する計画を撤回した。
Vistaの次の主要なリリースは今後2ヶ月以内に出される予定だが、このリリースでは仮想フォルダー機能が前面に押し出されることはない。「デフォルトの見え方は物理的なストレージスペースになり、そしてユーザーがその上に仮想フォルダーをつくり出せるような形になる」とAllchinは説明し、そのほうがWindows XPユーザーにとって移行しやすいはずだと付け加えた。
MicrosoftはVistaを2006年中に出荷する予定だが、この締め切りに間に合わせるために、当初計画していたいくつかの機能についてVistaへの搭載を見送る決定をすでに下している。
Allchinは、Vistaのセキュリティ面に関して、Windows XPのセキュリティがService Pack 2(SP2)で大幅に改善されたのと同じように、かなりの前進がみられるはずだと述べた。
Allchinによると、標準的なWindows XPで動作するコンピュータには、インターネットに接続した瞬間にハックされるおそれがあったという。SP2ではセキュリティの自動アップデート機能が追加されたり、ファイヤウォールがデフォルトで有効になったことなどから、XPのセキュリティ面は大幅に強化された。Vistaはユーザー保護の点でそれ以上に進んだものものになると同氏は説明した。
Microsoftは、セキュリティに関するバグを防ぐために開発方法を変更しており、またソースコードの分析にも新たなアプローチを採り入れているとAllchinは述べ、さらにVistaの中核部分は各種の攻撃に耐えられるように設計されていると付け加えた。「われわれは、この製品にいくつかの機能を追加し、それ自体でダブルチェックできるようにした」(Allchin)
Allchinはこのダブルチェックの一例として、VistaではOSの各種サービスがどのネットワークポートを公開すべきか、またOSのどの機能を呼び出すべきかを認識し、そしてOSの別の部分がこのプロセスを認証するようになることを挙げた。「何かがポートを開こうとしても、それが本来公開されるはずのものでないことが分かった場合、ただちにそのポートは閉鎖される」(Allchin)
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