サンフランシスコ発--iPodを買うのは簡単が、それにビデオを読み込む作業ははるかに難しい。
もちろん、Apple Computerの「iTunes Music Store(iTMS)」ではテレビ番組を各1ドル99セントでダウンロード購入できる。そのセレクションには、NBC、USA Network、およびSci-Fi Channelの各番組が含まれている。
また、iTMSでの品揃えも徐々に拡大し、Grateful Deadのビデオなどが追加されていることから、今後選択肢はさらに増えることになりそうだ。
しかし、「Lost」や「Desperate Housewives」以外の番組を見たいビデオiPodのユーザーにとってはiTMSの品揃えが充実してもあまり役に立たない。とくに、すでにDVDを大量に保有しており、それをiPodで観たいユーザーには何の役にも立たない。
先週当地で開かれたMacworld Expo 2006では、このような問題に対処しようとする製品がいくつか発表されていた。
Elgato Systemが新たに出した「EyeTV 2」は、同社のテレビ視聴ソフトウェアのアップグレード版で、魅力的な外観をしている。ただし、これを使うにはElgatoの外付けチューナー(USB/Firewire接続)が必要だ(同社の製品はMac専用だが、「Cats Eye」というUSB接続のHD(高品位対応)TVチューナーや「MyTV ToGo」など、同等の機能を持つWindows対応製品も多数存在する)
「EyeTV 500」という350ドルのチューナーを私が使用している「PowerBook」に接続すると、それだけで見たいテレビ番組が選局できる状態になった。EyeTV 500はデジタル放送のみに対応するが、ただしサンフランシスコの市街地で受信できるデジタル放送は十数チャネルしかない。このソフトウェアは簡単に使える。手直しされたレイアウトは、iTunesのようになり、番組名をクリックすると録画が始まり、録画したものはプレイリストで管理する仕組みになっている。
ここまでは簡単だったが、高解像度のテレビ番組を低解像度のフォーマット(iPodでの再生には、一般的に320 x 240ピクセルが最適だ)に変換するときに問題が生じた。
18カ月前に購入したPowerBookは、1.3GHzのG4プロセッサと512Mバイトのメモリしか搭載していないため、この変換処理には非常に長い時間がかかった。たとえば、高解像度(1920 x 1080ピクセル)の「Malcolm in the Middle」を1話分変換するには3時間以上かかった。私のPowerBookはこの作業には向いていないことが明らかだった。
ただし、フォーマット変換さえ完了すれば番組が自動的にiTunes内部に表示される点はよくできている。また、テレビ番組を録画直後に変換するオプションを設定することも可能だが、この場合は変換作業がバックグラウンドで行われるため、とても長い時間が必要となる。
著作権関連の障害 だが、私のフィアンセと私の場合、テレビ番組を録画して観ることはあまりなく、所有するDVDを観るほうがはるかに多い。そして、私たちは今月サンフランシスコからフロリダのフォートローダーデールに飛行機で移動する予定があるため、これに備えてフィアンセの「Sex and the City」を何話分かiPodに転送しておきたいと私は考えた。
残念ながら、米国には「Digital Millennium Copyright Act(DMCA:デジタルミレニアム著作権法)」があるため、DVDのコンテンツをiPodにコピーするためのソフトウェアは、合法的に配布したり輸入したりすることができない。同法の第1201項では、「(コピー防止用の)技術的な手段の回避」を目的としたソフトウェアが禁じられている。この場合は、市販DVDに採用されている「CSS」というコピー対策アルゴリズムが「技術的な手段」にあたる。
ところが、この法律には奇妙な部分がある。DVDのコンテンツをビデオiPodに移すためのソフトウェアは、販売するのは違法だが、それを利用するのはおそらく合法なのだ(ただし、あくまで入手できればの話だが)
ワシントンDCのアメリカン大学で著作権法を教えるPeter Jasziは、「勝手にやるのはかまわないが、だれかが手伝うことは許されていない。また、他人を手伝うことも許されていない」と説明する(ただしJasziは、これは判例のない法的理論に依存しているため「完璧な議論ではない」として警告している)
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