IBMは複数のパートナー企業とともに、一連のウェブアプリケーションをパッケージ化する試みを進めている。これが実現すれば、いずれは従来のアプリケーションと同様の製品がオンライン上で再現されることになり、ソフトウェアサービスの導入に拍車がかかる可能性がある。
現在進行中のこのプロジェクトには、さまざまなビジネス用ウェブアプリケーションを簡単に購入できるようにし、数十億ドルの規模を持つIBMのホスティングビジネスをさらに拡大させるという狙いがあると、IBMの計画に詳しい関係者はCNET News.comに対して語った。
IBMはこの構想を、早ければ今月ラスベガスで開催される「IBM PartnerWorld」カンファレンスで明らかにする可能性がある。同プロジェクトに参加するあるメンバーは、この構想を「IBM Software as a Service Partner Council」と呼んでいる。
IBMは「ソフトウェアをサービスとして提供する」もしくは「インターネット経由でアプリケーションを配布する」という認識の普及に努めており、ウェブアプリケーションの統合計画もそうした取り組みの1つとなっている。ソフトウェアをオンデマンドで提供するこのモデルは、技術不足とお粗末なビジネス戦略がたたって、何年も失敗を繰り返していたが、ここへ来てようやく根付いてきた。
IBMは米国時間25日に、中規模企業向けのアプリケーションサービスプロバイダーCorioを買収した。同社はまた、独立系ソフトウェアベンダー(Independent Software Vendors:ISV)を支援し、各社のアプリケーションをインターネット上で効率的に実行できるものへ変えさせるプログラムも用意している。
アナリストによれば、IBMがアプリケーションのホスティングサービスに大きな関心を示していることは、この分野のほうが従来のソフトウェア販売に比べて成長の可能性が大きいというソフトウェア企業各社の考えを反映したものだという。
「現在、ソフトウェア市場で最も高い成長率が望める分野がいくつかあるが、アプリケーションのホスティングサービスもその1つだ」と、Summit Strategiesの社長兼チーフリサーチオフィサーであるTom Kucharvyは語る。「従来のソフトウェアの売上と、ホスティングサービスの売上が逆転するまでにはまだ何年もかかるが、確かにソフトウェアサービスの成長率のほうがずっと大きい」(Kucharvy)
ウェブアプリケーションに対する潜在的需要は特に中規模企業で大きく、IBMがCorioを買収したのもそれが理由だった。IBMのアプリケーションアウトソーシングビジネスはこれまで、ソフトウェアの設計や導入にカスタマイズを必要とする大企業を主な顧客層としていた。一方Corioには、数多くの顧客向けの導入に手間のかからないシンプルなアプリケーションを動かすソフトウェアがあると、アナリストは述べている。
IBMのJim Corgel(Eビジネスホスティングサービス部門ゼネラルマネージャ)は、Corio買収に関連して、「ホスティング市場は、年率20%以上の成長を遂げるとされている。これは、通常のソフトウェア市場と比べ実に4倍の成長率だ」と述べた。
市場調査会社IDCによると、同市場は今後数年間に毎年26%ずつ成長し、売り上げは2002年の21億ドルから、2007年には81億ドルへ増加するという。一方、従来のソフトウェア市場の伸び率は1けた台に低迷し、売れ筋製品もインフラストラクチャ関連やセキュリティ、マネジメントなど限定された分野に集中するという。
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