トヨタがこだわるオンラインならではのプロモーション

鳴海淳義(編集部)2008年01月29日 16時17分

 1月28日より、MSNにトヨタのハイブリッドカー「プリウス」のタイアップサイト「PRIUS Channel」がオープンした。動画へのコメント投稿や動画共有機能といったWindows Liveサービスを活用し、プリウスが持つ環境性能とエコドライブの楽しさを理解してもらおうという試みだ。

 プリウスといえば燃費がよく、環境にやさしいハイブリッドカーとして、一定の認知度を得ているが、それでもまだ様々な不安を抱える消費者もいるという。新しい技術、そして“ハイブリッド”という言葉の意味するところを完全に伝えるのは難しい。例えば、感電の心配はないのか、バッテリーが切れたらどうなるのか、家庭のコンセントで充電しなければいけないのかなど、普通のガソリン車と同じように扱えるかどうか心配する声はなくならない。

 テレビCMや新聞広告といった大きな媒体では、そういった言葉にならない小さな不安の数々を解消するのが難しいため、オンライン広告を使って通常のマス媒体ではできない長い尺をとり、動画と文字と画像で解説した。

 お笑い芸人のスピードワゴンがプリウスに乗って故郷である愛知県渥美半島をエコドライブするウェブ番組を配信し、エコドライブを紹介する本編と、スピードワゴンによるエコなコント「エコント」の動画や未公開シーンなどを詰め込んだ。

 ユーザーは文章や写真をウェブ番組上に投稿することができ、番組を見ながら投稿や閲覧を同時に楽しむことができる。投稿されたコメントをユーザー同士が評価することで、プリウスに対する情報交換を行える場としていく狙いもある。

 さらにはサイトに備えられたWindows Live Messengerを利用することで友人などと同じ動画を視聴しながらチャットをすることもできる。このウェブ番組を視聴することがそのまま擬似的な試乗を体験することになる仕組みだ。

 テレビが登場した当時は、街頭テレビの前に人々が集まって番組を楽しんでいた。それが次第に核家族化が進むことで、一家に一台、一人一台とテレビを持つようになり、テレビを見て話題にするというコミュニケーションの場が少なくなっていった。マイクロソフトでは、映像で人々の共感を得るには、内容の面白さと同等に、それを話題として共有する場が必要との考えから今回の仕掛けを作りあげた。これは「Video Tagging」というコンセプトで、映像試聴とコミュニケーションを本来の姿に再構築する試みである。

080129_toyota2.jpg宣伝部 第1キャンペーン企画室 第1グループ 松林雅人氏

 宣伝部 第1キャンペーン企画室の松林雅人氏は今回のタイアップの目的を次のように語る。「昔はエコというのは何かを我慢することと捉えられていましたが、エコドライブはこんなに楽しいっていうことを感じていただきたいと思っています。もちろん試乗していただくのが一番なのですが、なかなか多くの方には乗っていただけませんので、今回は試乗したときの気持ちや驚き、あとはシステム的な面白さをウェブでも伝えられないかという問題意識を持って取り組みました。企画の際にも試乗疑似体験的なことはマストでした。プリウスはいままでとは違うシステムということもあり、試乗していただくと購入意欲があがるというデータもありますので」

 ユーザーからの投稿を集める仕組みについて、トヨタ社内で躊躇することはなかったのだろうか。「試乗会で実際に乗っていただいた方々の感想をみると、そんなにネガティブなものが上がってはこないだろうと思っています。逆にネット上のコンテンツの中ですべて『プリウスすごい』みたいな賞賛の言葉の嵐が起こっている状況の方がよっぽど不自然。ネガティブな意見は排除するという気持ちはまったくなくて、ユーザーの本当の声を聞きたいですね。たぶん外の方が感じてらっしゃるような感覚より、全然気にしていないですね」(松林氏)

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