どこかで、誰かが、人類史上初のウェブログ(ブログ)を作ったことは確かだ。だが、それが誰なのかははっきりしない。
ブログは、インターネットのもっとも偉大な成果の1つとは言い切れないかもしれない。だが、更新を続けるアクティブなブロガーの数が1億人前後になったとの統計も出る中、おそらくは由緒正しいブロガー流のやり方でキーボードを叩いたであろう、最初にブログを立ち上げた人物には、名乗りをあげてその功績を自慢する権利があるはずだ。
ブロガー第1号は、かんしゃく持ちのDave Winer氏だったのだろうか?それとも、因習の打破を説くJorn Barger氏か?あるいは、ウェブ日記で知られるオンラインゲームの第一人者で、かつて「New York Times Magazine」誌で「個人ブログの開祖」と呼ばれたJustin Hall氏なのか?
それとも、この3人はそれぞれに、初期のブログの原型に大幅な改良を加えていったのだろうか?これらの質問に対する答えは、すべて「イエス」ということになりそうだ。実際、誰かに「ブロガー第1号」という称号を授けることは、ちょっと難しいどころの話ではない。そもそも、「ブログ」や「ブロガー」の定義がはっきりしていないのだ。仮に定義するならば、投稿が日付順に並べられている、最新の投稿がトップにあり、その他の記事は今後の使用に備えてアーカイブ化されている、といった条件は必ず入るはずだ(この基準に照らし合わせると、たとえば「Drudge Report」などは除外される)。
第1号候補の1人であるWiner氏は、ウェブシンジケーション技術の先駆者であり、1997年4月1日にスタートした「Scripting News」の編集者でもある。
Winer氏は自身のサイトで、Scripting Newsは「ブログ革命の発端になった」と述べ、「インターネット上で現在も続いているウェブログでは一番歴史が長い」と自画自賛している。しかし、10年前の時点では、Winer氏は「ウェブログ」という言葉を使っていなかったのは事実で、同氏は今もこの言葉を考え出したのが自分だとは主張していない。CNET News.comでは、Winer氏に対して繰り返し取材を申し込んだが応じてもらえなかった。この記事が公開された後になって、同氏はScripting Newsへの投稿という形で反応し、Scripting Newsが「草創期のブログ群を触発した」と述べた。
一方、プログラマーにして未来研究家、小説家James Joyceの研究者でもあるBarger氏は、「ウェブログ」という言葉を考案したのは自分だと言ってはばからない。1997年12月、Barger氏は「robotwisdom.com」を立ち上げた。これは、同氏が興味を持った政治、文化、書籍、テクノロジに関する記事について、そのリンクをブログ式に集めたものだ。
Barger氏は、CNET News.comに宛てた米国時間3月19日付の電子メールで次のように書いている。「(ブログという)言葉を作ったのはわたしなのだから、その定義をしなくてはならないと考えている。そして、わたしのもっとも厳密な定義によると、Winer氏が作ったものはブログとは言えない--彼のサイトでは、情報の時系列が無視されているケースが多すぎる。ゆえに、当然だが、最初の100%純粋なブログは、わたしが作ったと言ってよいだろう」
Barger氏は、自分のサイトは本で読んだ内容や知的な探求の成果を日々のログとして残す場であり、オンラインで公開されているので、「ウェブログ」(WebLog)と呼ぶことにしたのだという。こうしてできた新語は、その後間もなく「Peterme.com」のPeter Merholz氏によって短縮され、小文字表記の「ブログ」(blog)になった。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」