ダートマス大学のHany Farid教授は、改ざんされたデジタル写真を検出できるソフトウェアツールを考案した。教授の次なる課題は、動画ファイルや音声ファイルの改ざんを判別することだ。
「もっと簡単にできると思っていたが、意外と難しかった」とFarid教授は述べている。「1分間の動画には何千コマという画像が含まれている。単純に作業が必要なデータ量を考えただけでも大変だ。(静止)画像にはないメモリとランタイムの問題もある」(Farid教授)
また、ダートマス大学のImage Science Groupは、警察当局や研究所、そして報道機関が写真詐欺を容易に検出できるようになるためのツールも公開予定だ、と同教授は述べている。
プロセッサの高速化や編集ソフトウェアの高度化により、修整された偽写真が数多く出回るようになった。
このような改ざんは、取るに足りないイタズラに止まらない。劇的な効果を狙って実際よりも多くの煙が加えられたベイルートの戦闘写真を掲載したことで、国際的報道機関のReutersは非難を受けている(この処理の判別にはFarid教授のソフトウェアが利用された)。2004年の米大統領選では、KerryおよびBush両陣営を中傷する偽写真がインターネット上で出回った。また児童ポルノ制作者らは、重罪を免れるために写真の修整を利用している。
メディア詐欺では静止画が中心になっている。しかし、デジタルの音声や動画でも同じ問題が起こらないという保証はない。
「音声の改ざんは比較的簡単だ。われわれの聴覚系はかなりいい加減だからだ」とFarid教授は述べている。「動画の改ざんは非常に難しい。動画を改ざんするためのツールは、静止画用ほど洗練されていない。しかし、先手を打っておいたほうが良いだろう」(Farid教授)
動画および音声ファイルに関するFarid教授の作業はまだ準備段階にある。同教授は、大学院生のWeihong Wang氏と共同で映像犯罪科学に関する論文1本を発表し、論文3本に取り組んでいる。動画に犯罪科学テストを実施できるようなソフトウェアが出現するまでにはあと2年程かかりそうだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」