Googleは米国時間7月20日、好調な四半期決算を発表した。同社幹部はその際に、内部の事情を具体的に明らかにはしなかったまでも、少なくともアナリストらに対しては米金融業界との間の凍りついた関係を溶かそうとしているかのような動きをみせた。
Googleは7月20日、第2四半期の財務結果を報告するアナリストとの電話会議を開催し、業績が投資家の予想を上回ったことを明らかにした。その後、同社の共同創業者であるSergey Brin氏は、アナリストとの電話に1対1で対応した。Google関係者によると、同氏がこのようなことをしたのは、これまでで初めてのことであるという。
多くの企業にとっては一般的な慣行のように聞こえるが、Google観測筋によると、これは同社にとって、2年前と比べると大きな変化であるという。Googleは当時、新規株式公開にあたっても従来の企業のやりかたに異議を唱えて、事業内容について語ることを拒否し、投資家からは無愛想な企業と位置づけられていた。
観測筋によると、同社はようやく米金融業界のアナリストらと仲良くすることを学び始めたようだという。投資家のGoogleに対する興味はとどまるところを知らず、同社は時価総額1180億ドル規模のIT企業へと成長してきた。
「同社が企業秘密を今になって洩らし始めているわけではない。単に、かつてのように闘争心をむき出しにしなくなっただけのことだろう」とPacific Growth EquitiesのDerek Brown氏は言う。「2年前と比べると、今回は多少なりとも同社の事業内容について理解を深めることができたような心持ちで、(業績に関する)電話会議をあとにした」(Brown氏)
Googleが2004年8月に株式を公開した際には、機関投資家が価格を設定して株式を割り当てるという通常のアプローチではなく、珍しいオープンオークション方式が採用された。この一件と、米金融業界に対するGoogleの悪びれないスタンスに、苛立ちを覚える者も少なくなかった。
「Googleとのコミュニケーションは新規株式公開の後からいくぶんか断絶された状態になっていたが、それが修復された」とRBC Capital MarketsのアナリストであるJordan Rohan氏は言う。「現時点では最高レベルとはいえないが、これも時間の経過とともに改善するであろう。同社の新しいコミュニケーション計画は、しばらくはベータ期間を経ることになるであろう」(Rohan氏)
GoogleのIRディレクターであるKim Jabal氏は、同社が株式公開後の初期の段階において寡黙であったことについて、米金融業界の間で「傲慢である」との評判を築いたかもしれないと認めている。
「最初の頃、Googleは事業を軌道に乗せ続けることだけに極端に力を入れていた。高い成長率を持続することと、事業を運営することそのものにフォーカスしてきたのである。あまり投資家と話をすることに時間を割かなかった」とJabal氏は言う。「わが社も成長するにつれ、投資家、アナリスト、株主に対する時間と配慮をさらに捻出する方法を編み出そうとしている」(Jabal氏)
「問題は、投資家やアナリストが、わが社が競争上の理由から快く思わないようなメトリクスを求めてくることである。われわれは自社のビジネスモデルと戦略をさらに透明化し、投資家が事業内容について理解を深めることができるように手助けすることを望んでいる」とJabal氏は付け加えた。
Googleの幹部は、投資家やアナリスト、報道機関、提携企業、そして政府との間のコミュニケーションの向上に努めてきたと、同社の広報担当者であるJon Murchinson氏は述べている。しかし同時にディスクロージャーと競争業者に手の内を明かすこととの間でバランスをとる必要もあると、同氏は付け加えた。Googleはいくつかの具体的な措置を講じている。
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