何かに投資をするのであれば、効果を計れないと意味がない。
140文字という限られた文字数の中で、「今、何をしているか」といった内容をつぶやき合うサービス「Twitter」が、ここのところキャズムを超えたといっても良いぐらい日本でも注目を集め、ユーザー数を増やしている。企業も参入し始め、自社のアカウントを作成し、Twitter上でさまざまなアクティビティを展開し始めている。
企業が活動をする限り、Twitterにおいてもその効果測定は必要であろう。TwitterはさまざまなAPIを公開している。これを利用したサードパーティーのサイトが多く存在するのもTwitter界隈の特徴と言えるだろう。さらには、このAPIを利用することで、単なる効果測定だけではなく、ブランディングの過程やユーザーの生の声も把握できるようになる。
企業はTwitterでどのような効果測定ができるのだろうか。この特集の中で数回にわたり、Twitterの効果測定について触れていきたい。
現状、企業によるTwitterマーケティング活動はどのようなものが行われているのか。ここで簡単に整理したい。
日本で有名な企業公式アカウントにはYahoo!JAPAN Shopping、カメラのキタムラ、ポニーキャニオン、NHK、朝日新聞、福助などがある。
これらの企業アカウントをみていくと、Twitterの運用担当者のつぶやきなども含みつつ、お勧めの商品の告知やキャンペーンの告知など行い、自社サイトへ誘導していることが多い。そして、これらのアカウントの運営にあたっては、複数の担当者が共同で投稿することが多いようだ。
公式アカウント運用での有名な事例では、たとえばPCメーカーのDellがデル・アウトレットの情報を配信するTwitter公式アカウント「DellOutlet」を作成し、300万ドルの売上をあげた例などがある。
店舗の情報を伝えていくケースもある。渋谷のカフェであるハイスコアキッチンはTwitterを通じて、本日のメニューの告知を行い、店舗への誘導を図っている。
また、メディアサイトを運営している場合などは、サイトへの注目度やTwitterからの流入が鍵になってくる。ニュースやブログの記事などは、URLとしてTwitterに投稿(Tweet)され、そこからさらにRetweet(ほかの人の投稿を引用して自分のTweetとして再度投稿すること)されることで、その伝搬性が大きく増すことがある。
そのため、TwitterユーザーがURLを入れて投稿しやすいよう、毎日jpのように各記事にTwitterへの投稿ボタンを設置しているサイトもでてきている。
さて、企業がTwitterマーケティングでどのようなことをしているかに触れたが、実際の効果測定では何ができるだろうか?
現状、Twitterに関して可能な計測は、大きく3つに分けられる。
「流入」とは、Twitterから自社が運営するサイトへのトラフィックの流れであり、コマースサイトであれば売上にも直結するかもしれない非常に重要な部分と言える。Twitterからの流入がどのくらいあるのか、そこからコンバージョンにどのくらい結びついているかは非常に重要な測定だ。
もう1つの「ブランディング計測」は、Twitter上で語られる自社ブランドに関する投稿を元にする。自社のブランドがTwitterユーザーにどのように語られているのか、どのくらい語られているのかなどを知ることも重要だ。
最後は「公式アカウントの魅力」である。Twitterでは通常の広告配信とは違い、公式アカウントから情報だけを配信しているだけで効果が出るとは必ずしも言えない。これはTwitterのアカウントで発信する情報は、ユーザーにフォロー(購読)されて始めて人々の目に留まるようになるからだ。
公式アカウントを運用する場合は、公式アカウント自体の魅力も上げていかないと、伝えたい情報を伝えているつもりが実は誰もいないところで叫んでいるのと同じ状態になってしまいかねない。そのためにもTwitterアカウントをきちんと運用できているかどうかを分析もすることも重要になる。
今回はTwitterマーケティングを企業が実施するにあたり、そのマーケティングの方法や効果測定の視点を簡単にまとめた。次回からは、さらに細かい実際の分析方法などを解説していきたい。
2001年に国内大手航空会社のシステム子会社に入社後、システムエンジニアとして予解約システムの開発、予約フロー設計に携わったのち、コンテンツディレクターとしてサイトリニューアルなどを手掛けた。その後は、同社内のマーケティング戦略立案支援やウェブ解析の導入や活用促進に携わった。オムニチュアへは2008年に入社。エンドユーザーとしての経験を活かし、現在は企業のオンラインマーケティングを成功に導くためのコンサルティング業務を担当している。学習院大学法学部卒。
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