携帯電話を生かしたマーケティング戦略は、誰もが社名を知っているメジャー企業にとっても欠かせないものになりつつある。
幅広いメディアを活用し、幅広い層にリーチすることを主眼とするメジャー企業にとって、モバイルマーケティングとはどのようなものなのか──。
「メジャー企業のモバイルマーケティング戦略」と題したパネルディスカッションでは、メジャー企業を代表して全日本空輸の営業推進本部WEB販売部部長である幸重孝典氏、日本コカ・コーラのインターラクティブ・マーケティング統括部長である江端浩人氏を招き、メジャー企業におけるモバイルマーケティングの先行事例を探った。モデレーターはCNET Japan編集長の別井貴志が務めた。
まず、ディスカッションに先立ち、両社の基本戦略について聞いた。
全日空では、「ANA SKY MOBILE」という携帯電話向けサイトを中心にモバイルサービスを展開している。PCを活用したサービスは1997年から始め、モバイルは1999年の「iモード」開始に合わせてスタート。当初は航空券の予約サービスだけを展開していた。
2001年からはサイト利用者に楽しんでもらうためのエンターテインメント系コンテンツを増やし、2004年からはおサイフケータイを使ったサービスを開始。携帯電話だけでチェックインや搭乗までもできるように拡大していった。
「予約、航空券購入、チェックインまでを携帯電話だけ行うことができる。現在は携帯電話から座席指定もでき、トラベルサポートサービスも展開しています」(幸重氏)
PCと携帯電話では利用シーンが異なると幸重氏は指摘する。PCは搭乗日前の1週間に6割の人が予約手続きをするのに対し、携帯電話は飛行機が飛ぶ前日から当日に予約の5割が集中している。
コカ・コーラの江端氏はかつて、「デジプリ」というインターネットサーバを活用したプリントサービスを提供するベンチャー企業で代表を務めたこともある人物だ。「メジャー企業と紹介されたが、(ベンチャー時代と)目線は変わっていないつもり」と語った。
インターブランドの調査によればコカ・コーラは世界で一番よく知られているブランドだといい、世界で1日14億杯以上飲まれている。「いつでもどこでも誰でも飲んでいる」という商品に対するキャッチフレーズは、携帯電話の利用にも当てはまると江端氏はいう。
「コカ・コーラは現在、テレビ視聴率の低下という世界的に大きな問題に直面しています。米国ではかつて最も視聴率の高かった番組は60.2%を記録していましたが、2006年には一番見られた番組でも視聴率はわずか16%でした。NAB/Nielsenが行ったCMの認知率調査では、前日に見たCMを思い出せる人は1965年の34%から2000年には9%へと落ち込んでしまいました。特に、若者にテレビのCMが届かない。そこで、『Coke Side of Life』という全世界統一のコカ・コーラの全世界的な復権プログラムを企画、実施しました」(江端氏)
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