米国時間12月14日にニューヨークでDonald Trump次期大統領とシリコンバレー大手各社の首脳との「初顔合わせ」の会合が開かれる。Trumpやその取り巻きと、シリコンバレーの有名経営者というのは、どう見ても「水と油」の関係としか思えないが、それでもTim Cook(Apple)、Jeff Bezos(Amazon)、Larry Page(Google)、Eric Schmidt(Google)、Sheryl Sandberg(Facebook)、Satya Nadella(Microsoft)、Elon Musk(Tesla)といったお歴々がTrump Towerまで足を運ぶ予定というから、大統領の力というのはまったく大したものと改めて感心してしまう。
またCookにしても、BezosにしてもあるいはSchmidtにしても、それぞれ「(Trumpとは)できれば会わずに済ませたい」という理由がはっきりとある人物であり、そう考えるとちょっと気の毒な感じもしてしまう。移民やLGBT+の問題、女性の社会進出問題、それにWashington Postの(Trumpに批判的な)報道をめぐる問題など、火種になりそうな事柄がいろいろと思い浮かぶこの会合で一体どんなことが話し合われるかというのはニュースの野次馬にとって興味の尽きないところだ。
今回はこの会合で比較的双方の歩み寄りが見られそうな議題として改めて注目が集まっている、法人税改革と国外滞留資金(米多国籍企業が「国外」に寝かせてある利益)の持ち込みに関する話の現状をおさらいしてみる。
時代遅れになった米国の法人税の抜け穴を利用して、AppleやGoogleといったシリコンバレーの大手企業が「国外」に溜め込んでいる膨大な利益(余剰金)。この資金が現在では2.5兆~2.6兆ドル規模まで膨れ上がっているという。
この話題を採り上げたCNBC記事(9月下旬に公開されていたもの)では、米企業が米国内への持ち込みで課税されるのを避けるために、国外の子会社などに溜め込んでいる資金の総額が2.5兆ドル規模まで増加しているとするCapital Economicsの推定が引用されている。また企業別の金額を記した棒グラフも出ており、具体的には次の通りとなっている。
これ以外に、Pfizer、Merck、Johnson & Johnsonといった製薬大手の名前と金額もある。
2.5兆ドルという金額は米GDPの約14%に相当といった説明もこの記事中にはあるが、米国の国家予算がだいたい4兆ドル(2017年度、予算案)だから、それと比べても相当な額であり、またそれだけのリソースが(企業買収などを除いては)さほど活用されずに置かれてあるというのが社会全体にとってもったいないことであるのは言うまでもない。ましてや交通インフラの大規模な改修をはじめとしていろいろと物入りがある現状ではなおさらと思える。
またBloomberg記事(12月上旬のもの)では、この滞留資金の金額が推定2.6兆ドルとなっている。Appleの資金については、同社が公表している流動性資金(余剰資金)2380億ドルの9割以上が「国外」に留め置かれているとある。そうしてTrumpが選挙戦中に口にしていた「10%のrepatriation tax」という一時的な減税措置についても触れている。
「repatriation tax」は米企業が国外であげた利益を米国内に持ち込んだ際にかかる税金のことで、この減税措置は簡単にいうと、普通に持ち込めば35%の法人税(連邦税)がかかるところを10%で持ち込めるようにするから、その資金で雇用を増やしたり、あるいは株主還元したりしてほしいという趣旨の施策と言える。
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