JDL、「サイバー会計事務所」構想の浸透で株価も見直し機運

 財務・税務コンピュータシステム大手の日本デジタル研究所(JDL)の株価が、中段での三角もち合いから上放れの兆しを見せ初めている。これは、同社が提唱してきた「サイバー会計事務所」構想がマーケットに徐々に浸透しはじめ、着実な成長を見せる中で、今3月期の業績が従来の会社予想を上回り上方修正される可能性が高まってきたためだ。

 同社の主力事業部門である電子機器事業では、サイバー会計事務所構想の積極的な推進により、利益率の高いサーバなどが順調な伸長をみせている。

 サイバー会計事務所構想は、従来の同社と同社の顧客である中小会計事務所とのあいだでネットワーク化を図る段階から、今後は顧客会計事務所の顧問先である中小企業とのネットワークや同社ソフトウエア製品へのシフトが一段と進展するものと予想される。これに伴って主力サーバ製品である「JLD SERVER A7700X」およびワークステーション機種の販売が好調な推移を見せており、顧問先企業の市場規模は約80万社と膨大であることから、今後の市場開拓に期待がかかっている。

 この電子機器事業部門の2008年3月期第1四半期の売上高は48億4700万円(前年同期比6.4%減)となった。これは、前期に会社法施行によって特需が発生し、今期のとくに上期にはその反動減の現象が起きているためだ。ただし、下期以降は回復を見込んでおり、通期では、売上高は前期比でプラスに転じる見通しだ。

 もうひとつの主力事業である国内の定期航空運送事業も好調な推移を見せている。地震、台風などに伴う自然災害発生による列車の不通区間が生じたことや、景気好調持続による荷動きの活発化などから、2008年3月期第1四半期(4〜6月)の定期航空運送部門の売上高は14億4800万円(前年同期比7.6%増)となった。

 第1四半期の全体の連結営業利益は、12億3600万円(前年同期比27%減)と、前期の特需に対する反動減で減収となったものの、9月中間期の会社側期初予想の連結営業利益23億円に対する進捗率は53%と堅調な推移をみせている。

 会社側の通期連結業績予想は、売上高295億円(前期比1.8%増)、営業利益54億円(同2.9%減)、経常利益56億円(同4.5%減)、純利益34億円(4.5%減)と微増収減益を見込んでいるものの、今後の業績上方修正で、一転前期比増益に転じる可能性が高まってきた。

 同社の株価は、今年2月20日に年初来高値の1969円を付けて以降、5月半ばまでは高値もみ合いとなっていたものの、その後は下落傾向に拍車がかかる展開となり、8月9日には1292円の年初来安値までの低下を強いられた。しかし、その後は全体相場の軟調地合い継続にも関わらず、着実に下値を切り上げる典型的な上昇トレンドをたどっている。ここにきて日々の変動幅が小さくなり、株価は煮詰まり状態となっており、日足の三角もち合いを上放れる公算が強まっている。

 先週末14日終値1450円ベースでの連結PERは、14.4倍、同連結PBRも0.81倍といずれの株価指標も十分な割安水準にある。当面は6月26日の高値1730円水準が目標株価となりそうだ。

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