チップワンストップが10月13日にマザーズに上場

 ネットによる電子デバイスの販売を手掛けるチップワンストップが10月13日に東証マザーズに新規上場する。このところ、ジャスダック、マザーズ、ヘラクレスなどの新興市場は全体として買い手掛かり難から軟調な相場展開が続いているものの、「上場ラッシュにもかかわらず、新規上場銘柄については別格の買い人気の強さを継続している」と準大手証券IPO担当者はいう。ただ、10月6日の超大物、電源開発の新規上場の後だけに、IPOの環境が大きく変化するのではとの懸念も出ている。

 チップワンストップは、インターネットサイトを利用した電子デバイス(半導体、電子部品)の販売を手掛けている。主に電子機器メーカーの設計・開発部門および購買部門に対し、ウェブサイトを通じて設計・試作品用の少量多品目の半導体・電子部品(電子デバイス)を一括かつ短期間で販売するとともに、電子デバイスの生産中止情報・仕様変更情報・互換品情報に関するコンテンツデータベースサービスを提供している。また、電子デバイスメーカー、電子デバイス商社および電子機器メーカーに対して、インターネットを用いた商品マーケティングと購買業務の効率化に関するソフトウェアソリューションの提供を行っている。同社の設立は2001年で、日商岩井(現・双日ホールディングス)系の米国ベンチャー企業が、CAD/CAMシステムの総合メーカー図研の資本参加を受けて業容を拡大させてきた。現在も図研が筆頭株主となっている。

 最近、日本のハイテク関連業界は大きな変化をみせている。生産をコストの安い海外へシフトするとともに、国内では新製品の設計、開発および高付加価値製品の製造に特化する傾向が一段と強まっている。ところが、電子デバイスの流通のほとんどは、従来のメーカー別、大量販売中心といった流通形態から変化していなかった。そこで「当社はインターネットを活用することで、ニーズに応じた新しい流通体制を構築し、それをビジネスとして展開している」(同社代表取締役社長、高乗正行氏)というわけだ。

 現在、半導体・電子部品商社の丸文、加賀電子など有力サプライヤーと資本提携し、600社以上の部品メーカー、特約店と協調関係を持つのが大きな特徴。商品数は500万品種以上で日本最大級。設計・試作用の多品種少量、緊急調達などのニーズに特化し、必要な商品をメーカーにこだわらず短納期で販売する。

 一方、現在のウェブサイト会員は1万1000人で、毎期順調に増加している。顧客は電機・通信機器・コンピュータメーカーなど電子デバイスを必要とする業界のほとんど。一度同社から購入した顧客のうち、1年間で6回以上購入した顧客の比率は50%と、リピート率が非常に高い。また、「当社のサイトは多くのお客様が集まるため、マーケティングチャネルとしての利用も可能」(高乗氏)として、データベースサービスも提供している。今後も多品種少量・緊急調達の市場は拡大する観測で、同社の成長も続きそうだ。ちなみに、2004年12月期の単独業績は、売上高19億9500万円、経常利益2億6700万円、当期利益2億3000万円、1株利益1万6829.5円と見込まれている。

 9月17日に、公募新株の発行価格が42万5000円、ブックビルディングのための仮条件は50〜60万円と決まった。したがって、上場初日の公開価格は上限の60万円となり、これまでのIPO人気が継続していると想定すれば、IT関連という業種面での人気と、業績面でも今後急成長が見込めていることから、初値は100万円を超える可能性が十分高いということになる。しかし、上場直前の相場状況によって大きく変わってくることはいうまでもない。

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