筆者は毎日の通勤から解放されて3年になるが、自分が在宅勤務の持ついくつかのあまり魅力的ではない側面の影響を受けていることに気づき始めた。そこで筆者は、少し作業を中断して(項目4参照)、気づいたいくつかの負の側面について書きとめておくことにした。
信じられないなら、万歩計を身につけて、朝起きてから寝るまでの歩数を数えてみるといい。コンサルタントの友人はこれを2週間やってみて、1日平均156歩しか歩いていないことを知り、恐れおののいた。これはトイレと冷蔵庫への往復だけの歩数だろう。オフィスでは一般に、食事に行くにも、コーヒーや水を取りに行くのでも、トイレに行くのでももっと多く歩くことになる。それに加え、打ち合わせにも歩いて行くし、煙草を吸いに外に行ったり、友人に会いに行ったりもする。
しばらく1人だけで仕事をしていると、通常の社会的な抑制を失い始める。もはや一部の品のない(耳障りな音のすることもある)振る舞いを抑えるのを忘れ、上品な企業では普通あり得ない行為を行ってしまう可能性がある。そして年次スタッフミーティングに出席しなければならない年1回の日に、話をしている人が一瞬絶句するような失態を犯すのだ。
猫は飼い主の注意が向けられているところに座りたがるものだ。われわれの多くにとっては、これはキーボードの上やディスプレイの前ということになる。そして遅かれ早かれ、コーヒーを取りに行ったり足の曲げ伸ばしをしようとして席を立ったときに、猫が背伸びをし……。そして、あなたはなぜデータベースのテーブルを削除してしまったか、なぜ社長にあんな写真を送ってしまったかを説明しなくてはならない羽目に陥るのだ。
(近所の人)「ああ、在宅勤務ですか、それはいいですね」彼らはあなたが1日中さぼっているだろうと思い込む。これは(a)自分で時間を決められる、(b)誰にも見張られていない、(c)もし自分ならそうする、という理由からだ。これが、頻繁な割り込みにつながる。「何してる?」「仕事してる」「それはよかった。ところで、公園で何が起こってるか見た?」「いや、仕事中だから見てない」「そうか。あそこの木はわたしが1953年にここに越して来たときからあるんだよ。あんなことはすべきじゃないと思うがねえ」「ええと、悪いんだけど、仕事しなきゃいけないから、席を外してくれないかな」「ああ、『仕事』ね、もちろんそうだよねえ。ところで、テレビをつけてもいいかな?」
あまりにも長い間上司を見ていないと、どんな顔だったかを忘れてしまう。大型のアップグレードのために、オフィスに呼び出された場面を考えよう。あなたは、普段時差があるところに住んでいるので、オフィスに早く着きすぎてしまい、正面入口に一番近い駐車スペースに車を止めた。すると、1台の車が横に停まり、降りてきた男性が、「ここはわたしの駐車スペースだ」とあなたをにらみつける。この人物は本気で言っているのだろうか?場所の予約の印なんてどこにもなかった。あなたは、着慣れていないのでただでさえ不快なスーツの内側で、汗をかき始める。そこで突然、男性は「ちょっとまて、Steveか?おい、Steve、君だとわからなかったよ。ずいぶん太ったんじゃないか、ええ?」と微笑む。そして……。次の項目に続く。
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