このところ、Microsoftの次世代OS開発プロジェクト「Midori」の動きが少なかった。特に、同プロジェクトを率いていたJonathan Shapiro氏が2010年3月にMicrosoftを辞めて以来、Midoriについて新しい情報を耳にしなかった。
Shapiro氏はMicrosoftを辞めた理由について語ろうとせず、コメントに応じていない。Microsoftの幹部も、Midoriについて、「Midoriという名前のOSインキュベーションプロジェクトは確かにある」と認める以外は多くを語ろうとしない。
だが、筆者のもとには読者からMidoriについての問い合わせが絶えない。MicrosoftはひっそりとMidoriプロジェクトを打ち切ってしまったのか?そうでなければ、Midoriは現在、どのような状況にあるのか?
そんな中、米国時間9月18日にMidoriのチームメンバーの1人と思われるJoe Duffy氏(自身を「OSインキュベーションプロジェクト担当プリンシパルアーキテクト」と名乗っている)が「We are hiring(人材募集)」というブログ記事を掲示した。
Microsoft内のわれわれチームは現在、複数のポストで人材を募集している。
わたしのチームの任務は、新しいOSプログラミングモデルにおけるさまざまな側面に及んでいる。主要なエリアとしては、並列性、言語、フレームワークの3つだ。1つ目の並列性とはここでは、非同期性とメッセージパス、データとタスクの並列処理、分散並列処理、ランタイムスケジューリングとリソース管理、異種混交とGPGPU(汎用GPU計算)などのことを指す。2つ目の言語とは、タイプシステム、大部分が関数型のプログラミング、確実で安全な並列性、フロントエンドとバックエンドの両方でのコンパイラなどを指す。3つ目のフレームワークとは、プラットフォームフレームワークに望むもの全てといえる。XML、データの相互運用性(データベース、ウェブサービスなど)、コレクション、トランザクション、マルチマスター同期はもちろん、Regex、数値、グローバル対応などローレベルなものも含まれる。
Duffy氏のブログ記事には、Midoriという言葉が見当たらないし、Microsoft ResearchのOSプロジェクト「Singularity」(Midoriの土台となったプロジェクトだ)にも触れていない。しかし、過去のうわさから、Midoriは並列性、分散処理、並行処理能力にフォーカスしたOSと推測されている。
(ちなみに、Duffy氏は.NETの並列拡張担当アーキテクト兼リード開発者を務めていたことがあり、「Concurrent Programming on Windows」という著書を持つ。)
Midoriがどのぐらい完成に近づいているのかを示唆する情報はないし、MidoriがMicrosoftにとってどのような位置づけなのか、公にする可能性はあるのか、あるとすればいつかなどに関する情報もない。だが、少なくともMidoriはコスト削減の対象にはなっていないようだ。少なくとも現時点では。
(Duffy氏のブログ投稿については、読者のVincent-Philippe Lauzon氏に教えてもらった。)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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