今回のテーマは「女性活用の実態に関するアンケート」。
女性が社会で活躍するうえでの負荷を軽減するために、産休・育児支援などの諸制度を整える企業が増えている。しかし、実際に女性が活躍することは「あたりまえ」となっているのだろうか。そこで、実際に制度を活用する立場である社員に女性活用に対しての意識と傾向について調査した。
今回の調査は2008年1月25日〜1月28日で行い、全国の20歳以上のビジネスパーソン1,082人(20〜29歳 25.5%、30〜39歳 25.0%、40〜49歳 25.0%、50歳以上 24.5%、男性67.5%、女性32.5%)から回答を得た。
まず、これまでに産休・育児制度などを活用したことがあるか聞いたところ95.8%が「活用したことはない」と答えており、性別・年齢において大きな違いはみられなかった。また、勤め先は女性が働きやすい環境かどうか聞いたところ、男女共に4割以上が「働きやすいと思わない」と回答し、その理由として「会社の制度が充実していない」(54.5%)ことが大きな要因のひとつであることがわかった。このような結果から、女性が結婚・出産後に同じ企業で働きたいと思い立っても、会社の制度が充実していないがために、その機会を失っている可能性があると考えられる。
また、実際に制度を活用したことのある人に意見を聞いた。その結果、約3割が制度を活用する際にうしろめたさを感じていることがわかった。理由としては「周りの目が気になる」(66.7%)「キャリアアップ(昇格)に影響してくる(またはそのように感じている)」(66.7%)が多く、本来は労働者の権利を守る制度が、反対に活用する社員に対して精神的なストレスを与えていることや、デメリットが生じてしまうという恐れを感じさせていることがわかった。
次に、女性が会社で活躍することをどのように思っているか聞いたところ、94.7%が「よいことだと思う」と答えた。では、実際に女性が働きやすい環境を作るため、自主的に行っていることはあるのだろうか。自主的に行なっていることを聞いてみると、男女の結果に違いがみられた。男性は43.1%の人が「性別に関係なく平等に仕事の評価をしている」と答えたのに対し、女性は25.5%。女性は「特に何もしていない」と回答した人が最も多く、半数以上を占めた。日本では男性が育児休暇を取ることはまだまだ少なく、産休や育児支援の制度は女性が活用することが多い。しかし、女性のほうが協力的ではなく、実際に働きやすい環境をつくろうと協力してくれるのは、女性よりも男性だった。
その背景はどこにあるのか。制度を活用している人に対して、不満を感じたことがある人にその理由を聞いたところ、最も多いのは「仕事が自分に回ってくるから」。その割合は男性よりも女性の方が高いことがわかった。やはり、女性が制度を活用すると、その負荷が同じ女性にまわってきてしまう。このようなことからも、男性より女性のほうが協力的になれない傾向にあるのかもしれない。
制度の一貫として、現在育児休暇中などに在宅でも仕事ができるよう取り組んでいる企業が増えている。しかし、職場とまったく同じ環境が整っているわけではなく、メール(77.6%)が利用できる程度の企業も少なくない。
また、在宅勤務の制度があれば利用したいか聞いたところ、75.0%の人が「利用したい」と回答。それぞれの生活スタイルにあった働き方を望んでいるといえる。また、どのような環境が整っていれば良いと思うかという問に対しては「メール」(84.1%)や「業務システム」(57.5%)、「イントラネット」(56.6%)、「業務利用するファイルサーバ」(55.2%)といった業務に最低限必要な環境が整っていることが求められている。在宅でも問題なく働くことができれば、産休や育児休暇中の優秀な人材を活かすこともでき、また、離職率も減らすことができるのではないだろうか。
最後に、実際に女性が制度を活用しづらいと感じているか聞いたところ、46.5%の人が「活用しづらいと思う」と答えた。その原因はどこにあると思うか聞いてみると、一番の原因は「社会全体」で、次いで「勤め先企業」となった。男性社員や女性社員、家庭といった“人”が原因をつくっていると感じている人は少なく、制度の充実や環境を求めていることがうかがえる。しかし、社会をつくっているのも、企業をつくっているのも人。女性が活躍できる環境を整えるためには1人1人が考え、実行しなければ企業や社会を動かすことはできないのではないだろうか。
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