今回のテーマは「シニア層におけるコミュニティーサイト利用に関する調査」。
若年層では、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)やブログをはじめとしたさまざまなCGMサイトの利用が定着してきたが、シニア層の利用実態はどうか。今後、コミュニティーサイトがシニア層に広く利用されるためにはどうすればよいか。コミュニティーサイトの利用状況や今後の利用意向、阻害要因などから、シニア層がコミュニティーサイトに求めることについて調査した。
今回の調査は3月6日〜3月10日で行い、全国の60歳以上79歳以下のシニア層男女の647人(男性49.2%、女性50.9%)から回答を得たほか、若年層と比較するため20歳以上39歳以下の男女596人(男性49.3%、女性50.7%)の回答を得た。
まず、シニア層にコミュニティーサイトの利用経験について聞いたところ、28.8%が「現在利用している」と回答、「過去に利用したことがある」を含めると、35.2%と3割以上が利用経験者であった。利用経験者のうち、どのようなコミュニティーサイトを利用しているか聞いたところ、「ブログ(68.4%)」が圧倒的に多く、若年層のブログ利用率64.0%を超えた結果となり、シニア層にとって、最も身近なCGMサイトであることがわかった。
また、若年層ではSNSがブログに次いで多かったが、シニア層では「Q&Aコミュニティー(30.3%)」が多く、SNSは若年層の比率と比べると少ない結果となった。「多目的・多機能」が利点となるSNSより、主に閲覧・書き込みだけで成立するブログやQ&Aコミュニティーの方が利用しやすいのかも知れない。
では、実際にどのような機能が利用されているのか。利用した経験のある機能について聞いたところ、シニア層で過半数が利用している機能は「閲覧(75.9%)」「投稿・書き込み(65.8%)」に留まり、その他の機能については、若年層と比較すると半分程度の利用経験率であったことから、シニア層にとっては、多くの機能が備わったサイトよりシンプルな機能のコサイトの方が利用しやすいことがうかがえる。
また、コミュニティーサイトでは主にどのような話が交わされているのだろうか。よく話題にする分野を聞いたところ、シニア層では、「趣味(37.3%)」が最も多く、次いで「旅行(14.5%)」「健康(14.0%)」が多い結果となった。また、リアルコミュニケーションで多く話題にしている分野を比較したところ、普段の会話では、「健康(36.0%)」「旅行(18.6%)」「趣味(18.0%)」の順に多く、健康と趣味が入れ替わっており、周囲の人とサイト上のコミュニティーで選ぶ話題が異なる傾向が見られた。
一方、コミュニティーサイト利用意向者(15.9%)に対し、利用したいコミュニティーサイトについて聞いたところ、「Q&Aコミュニティー(50.49%)」が最も多く、「ブログ(46.6%)」をしのぐ結果であった。コミュニティーサイトを利用したい理由についても「新たな情報を得たい(68.9%)」といった人が多いことから、情報収集を目的としたコミュニティーサイトの利用が広がることが考えられる。
最後に、コミュニティーサイト非利用意向者に利用したくない理由について聞いたところ、シニア(n=241)の意見では「騙されそう(22.8%)」「難しそう(8.3%)」が若年層に比べ多く、今後シニア層に安心してコミュニティーサイトを利用してもらうためには、サイト運営者の十分な管理と配慮が鍵となるのではないか。
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