ここ数年、青色発光ダイオード(LED)に関する訴訟をはじめとして、従業員の発明開発の対価に対する訴訟が増えている。そこで今回は「従業員の発明開発への企業の対応に対する働く人の意識を探る」をテーマに、働く人の発明開発の対価に関する関心度や特許法についての認知度、企業の対応などを調査した。
今回の調査は2006年12月28日〜12月29日でおこない、全国の1506人の男女会社員(男性78.75%、女性21.25%)から回答をえた。また調査に回答いただいた年齢層は20歳代が12.88%、30歳代が40.70%、40歳代が32.93%、50歳代が12.62%、60歳代が0.66%、70歳以上が0.20%であった。
従業員の発明開発の対価にかかわる訴訟が多い中、話題になった青色LEDに関する訴訟を知っている人は、全体の8割以上で、地裁判決が出たのがおよそ2年前であるにもかかわらず認識している人が多いことから、従業員の発明開発に対する企業の対応について高い関心を示す結果といえる。
またアンケート対象者のうち研究開発に携わっている人は全体の2割弱であることから、研究開発に携わっているか否かにかかわらず、認知度の高いニュースであったことがわかった。
実際に自分が働く会社に発明開発の対価についての規定・制度があるかという質問に対して、わからないと回答した人も約2割に対し、あると回答した人は全体の31.08%、ないと回答した人が45.62%でおよそ8割の人は規定の有無について知っており、従業員の発明開発の対価への関心があるのと同様の結果が得られた。
従業員の発明開発の対価について定めた特許法35条が2004年に改正されたことを知っている人は全体の16.60%、特許法35条という言葉は知らなかったが、このような内容の法律が改正されたことは知っていると回答した人は32.87%で、特許法35条の改正について何らかの形で知っている人は全体のおよそ5割という結果となった。
特許法35条の改正にともない、社内の契約や規則、制度などの改正があったと回答した人は全体の15.03%、改正はなかったが会社の考えについて説明などの情報発信があったと回答した人は12.08%であるのに対し、改正はなかったし社内で何の説明もなかったと回答した人が48.59%、わからないと回答した人が24.30%で合わせると7割以上の人が企業の側から何の説明も受けていないか、また情報の発信がたとえあってもわからなかったという結果となった。
また、会社の対応に対する従業員の意識の変化については、特に変わらないと回答した人が約5割であったが、会社の社員に対する姿勢を評価して仕事に対するモチベーションが上がった、内容はともかく会社の情報開示の姿勢を評価できるようになったと会社の姿勢を評価している回答がおよそ4割あったことから、企業側が職務発明の対価の対応に対して電子メールやイントラネットなどを利用して積極的に自らの姿勢を示し、従業員とコミュニケーションを取っていくことが従業員のモチベーション向上につながるという結果となった。
また全体のおよそ7割の人が日本企業の従業員の発明・開発の対価は低すぎると考えていることから、これからの日本企業の国際的競争力を高めるためにも、企業側の職務発明対価問題についての積極的取り組みが必要と思われる。
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