マイクロソフトは11月12日、スマートフォン用OS Windows Mobile 6.5 日本語版と、アプリケーション配信サービス「Windows Marketplace for Mobile」を12月上旬より日本国内で開始すると発表した。
Windows Mobile 6.5日本語版は、タッチスクリーン操作に対応する。これまではメニューなどが小さかったためスタイラスを必要としてきたが、今回からは片手で操作ができるようになったという。
また、Internet Explorer Mobile 6を標準搭載し、PC向けウェブサイトの閲覧性をさらに向上させた。「こだわったのはPCサイトの再現性。PCで見えているものをいかにモバイルで見られるかを追求した」(マイクロソフト コンシューマー&オンライン マーケティング統括本部 モバイルコミュニケーション本部 本部長 越川慎司氏)と自信を見せる。
さらに、スマートフォンに保存した連絡先、予定表、写真などのデータをクラウド上に同期し、容量200Mバイトの範囲でバックアップできる無償サービス「Microsoft My Phone」も特長の1つだ。
マイクロソフト 代表執行役副社長の堂山昌司氏は、「大事なのはWindows Mobile 6.5ではない。OSは技術の部分で、(OSだけなら)ただの箱かもしれない。Windows Mobile 6.5を使って楽しい体験ができるかに注目している。ゲーム、音楽、漫画など、楽しい、欲しい、長く遊びたい──そういうコンテンツがWindows Mobileにとって一番大事。“最高の体験”を大事にしたい」と語り、OSの説明は最小限にとどめ、発表会の時間の多くをWindows Marketplace for Mobileやコンテンツの紹介に費やした。
これまで、ビジネス色が強かったWindows Mobileだが、「ビジネスだけでなく、コンシューマにも楽しんでもらえるものを展開する」という。
コンテンツを楽むための鍵となるのが、Windows Marketplace for Mobileだ。Windows Mobile 6.5に標準搭載するほか、Windows Mobile 6/6.1搭載端末にも近日対応予定という。
Windows Marketplace for Mobileは、アップルのApp storeのように、世界各国で開発されたゲームやマンガ、ビジネスアプリケーションなどのさまざまなコンテンツをダウンロードできる場だ。また、ソフトウェア開発者は、Windows Marketplace for Mobileを通じて世界中へ配信、販売ができるようになる。
アプリケーションについて、「数を追求していくことは考えていない。数ではなく質を目指す」と話す。Windows Marketplace for Mobileの登録にあたっては、年間99ドルの登録料が必要になるほか、アプリケーションの審査費用として99ドルを課金することで、一定の品質を保ちたい考えだ。
国内ではおよそ30社のソフトウェアベンダーがWindows Marketplace for Mobileへのアプリケーション配信を決定。発表会場には、カプコン、コナミデジタルエンタテインメント、プロペなどのゲームメーカーや音楽配信のレコチョクらも登壇した。
マイクロソフトと業務提携を発表した集英社 常務取締役 鳥嶋和彦氏は、「『漫画を世界に届けたい』という思いがあったが、流通の状況などから届かないところがどうしてもある。子供の世界の事情は、大人の世界の事情で阻害される。この夢を共感してもらい、著作権も配慮して、大事なコンテンツを使う力を持つ会社はどこかと考えた。どこかのように都合を世界に押し付ける会社でなく、マイクロソフトと提携することがその答え」と語り、著作権への配慮を評価したことを明かした。
集英社は、キャラクターを用いて、Internet Explorer Mobile 6用のツールバーやWindows 7のテーマバック、Windows Live Messengerのスキンなどを提供する。Windows Marketplaceに限らず包括的な提携という。
長くレコード業界にいた堂山氏は「CDからデジタルに移行していく中で、苦しんだ業界を見てきた。誰かだけが儲かるのではなく、集う人たちが見返りがないと創造のサイクルは止まっていく。どの世界もそうだが、プラットフォーム技術があるだけでは進化は止まってしまう」と語るなど、コンテンツプロバイダーへの配慮を見せた。
その他のメーカーも、Windows Marketplaceに大きな期待を寄せる。「ケータイよりもパワフルでPCよりもフレンドリーなスマートフォンはますます伸びていく」(カプコン 開発統括本部 MC開発部長 手塚武氏)、「将来的には、家庭用ゲームと、Windows Phoneが連携するような新しい遊びを提供できるのではないかと夢を抱いている」(コナミデジタルエンタテインメント 執行役員 ネット事業統括 上原和彦氏)
なお、マイクロソフトは、今回のWindows Mobile 6.5の発表を機に、Windows Mobileを搭載した端末を「Windows Phone」と称する。今後はWindows Phoneとしてのブランドを確立させたい考えだ。
Windows Mobile 6.5を搭載したスマートフォンは、NTTドコモとソフトバンクモバイル、ウィルコムから発表されており、12月から順次発売される見込みだ。
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