レノボ・ジャパンは10月27日、Windows 7向けにシステムを最適化する技術「Windows7 Lenovo Enhanced Experience」(EE)に関する技術説明会を開催した。
EEは、レノボとマイクロソフトの共同エンジニアリングによって誕生したもの。Windows 7を搭載するPCを開発するにあたり、レノボがWindows 7のためにパフォーマンスを最適化した技術の総称で、OSの起動時間やシャットダウンの時間を大幅に短縮したり、マルチタッチ・パネルといった新機能やネットワークの接続性を向上したりできる。
レノボの研究開発TVT・ノートブック ソフトウェア開発担当 開発部長の麻生純一氏は、レノボにおけるソフトウェア製品の開発について、日本の大和事業所のみならず、中国の北京や深セン、米国のラーレーなどワールドワイドで取り組んでいることを説明。また、今回のEEの開発にあたっては、マイクロソフトの本社であるレッドモンドと連携し、改善に取り組んできたことを強調した。
レノボのマーケティングオペレーション担当 シニアマネージャーの伊藤重雄氏は、「EEのキーワードは“より快適に体感できる”の一言に尽きる。技術的に裏付けのあるメッセージ」と話す。
EEによる快適さの1つは、起動時間とシャットダウン時間の高速化だ。ビジネス向けのThink製品とコンシューマ向けのIdea製品のいずれにも共通するキーワードとして「Fast」がある。同じスペックのThinkPadでWindows 7、Windows Vista、Windows XPの3つを比べた場合、Windows 7が起動する時間は約20秒、シャットダウンの時間は5秒前後で、もっともWindows 7が速い。
もちろろん、OSとしてWindows 7そのものがすでに最適化されており、Windows Vistaよりも処理が速いことは知られている。そこで説明会では、同じWindows 7を搭載したPCを使い、EEを搭載したものと搭載していないものを比較し、起動時間、シャットダウン時間をテストした。その結果、起動時間は約57%、シャットダウン時間は約40%向上したという。
EEによるパフォーマンス向上の背景には、徹底したモジュールの最適化がある。マイクロソフトが提供するツール「Windows Velocity Tool」を利用してソフトウェアコンポーネントを切り分け、モジュール単位で実行時間を計測、待ち時間を作っているロジックを改善し、最適な処理時間になるようにコードを変更したという。
具体的な例としては、BIOSのコードを全面的に見直し、既存のルーチンの高速化や不要なコードの削除によって起動時間を短縮。さらに、起動直後には必須でないサービスの起動を、OSが完全に起動してから実行するように調整するなどしたとのこと。
また、EEにより、パフォーマンスの向上のほか、マルチ・タッチディスプレイのサポート、省電力設定や無線LANの設定など日常で使う機能をサポートする「ThinkVantageソフトウェア」の最適化にも取り組む。EEは、Windows 7の機能を最大限に引き出し、生産性の向上と高いパフォーマンスを提供するものと語った。
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