うわさのApple製タブレットについてあれこれ推測しても、徒労に終わるかもしれない。しかし、それが興味深い作業であることに変わりはない。今回は、Apple製タブレットの内側について、考えをめぐらせてみようと思う。
設計理念の土台になるのは、「iPhone」の大型版という概念なのだろうか。それとも、「MacBook」の小型版なのだろうか。筆者は、前者になると思う。なぜなら、この方がハードウェアおよびソフトウェアの自然な進化だからだ。しかし、今回は両方の選択肢について考察してみよう。
このタブレットは2010年の登場がうわさされているので、Intelのシリコンが搭載される場合は(この可能性は極めて低いだろうが)、次のような感じになると筆者は考えている。
1つ目のシナリオは、Intelの次世代「Atom(開発コード名:Pine Trail)」プロセッサを搭載した、ノートブックの系譜に連なるタブレット。これは、現在のAtomプロセッサ(Intelで最も低消費電力のチップ技術)よりも優れたパフォーマンスと省電力を実現するだろう。Pine Trailは、メインのプロセッサと同じシリコン上にグラフィックスプロセッサを組み込んでいる。これは、Intelにとって初めての試みだ(その一方で、Intelが将来予定している「Core i」シリーズのモバイルプロセッサ(開発コード名:Arrandale)は、同一のチップ上ではなく、同一のチップパッケージ内にメインのプロセッサとグラフィックスを搭載する)。
もっと可能性の高い、Intel以外のシリコンを搭載したタブレットについて考えてみよう。
2つ目のシナリオは、Appleの「ARM」シリコンを搭載した「iPod」およびiPhoneの大型版。これは、Intel製シリコンよりもずっと可能性の高いシナリオだろう。「iPhone 3GS」は現在、報道によれば600MHzで動作する、サムスンのARMプロセッサを使用している。Appleがこの設計をタブレット向けにどう微調整するかについては、憶測の域を出ないため、今回は大胆な推測をするのは控えようと思う。
チップ設計を手がけるP.A. Semiの買収やiPhoneの成功により、Appleの内部では、Intelベースの設計よりもARMベースの設計の方により多くの知的資本を投資している、と言うにとどめておこう。そして、iPhoneのARMプロセッサに「Apple」と刻印されている事実も、見過ごしてはいけない。
1つだけ、大胆な推測を述べておこう。それは、QualcommのARMをベースとする1GHzの「Snapdragon」プロセッサに類似した、より高速なプロセッサだ。サムスンとテキサス州オースティンに拠点を置くIntrinsityは先日、iPhone 3GSに現在搭載されているプロセッサに似た1GHzのチップを共同開発したと発表した。そして、これはQualcommが「スマートブック」向けに売り込もうとしているのと同種のプロセッサである。スマートブックには、ネットブックとタブレットの両方が含まれるのかもしれない。
グラフィックスについては、英国に拠点を置くImagination Technologiesが、iPhoneのARMシリコン内部の「PowerVR」グラフィックスコアを供給していることくらいしか、はっきりしたことは分からない。また、AppleはImagination Technologiesへの出資比率を9.5%に拡大し、同社に大きな関心があることを示している。
最後になるが、Appleの「iPAD」に関する憶測が、単なる個人レベルを超越して、書籍販売業者Bordersのような会社組織にまで及んでいるのは興味深い。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」