Amazon.comはどうやら、「Kindle 2」のテキスト読み上げ機能が著作権を侵害しているかどうかという問題に関して、出版業界と争う気はないようだ。
人気の電子書籍リーダー、Kindleを製造する小売業者のAmazonは米国時間2月27日、著者や出版社が作品ごとにKindleのテキスト読み上げ機能を有効にするかどうか決定できるよう、システムを修正する作業を進めていると発表した。
Amazonは、同日のプレスリリースを強気な口調で書き出している。「Kindle 2の試験的なテキスト読み上げ機能は合法だ。複製はなされず、派生的な作品が作成されるわけでもない。(朗読会のような)パフォーマンスを提供するものでもない」
だが、Amazonはこう続けている。「われわれは、著作権保有者がテキスト読み上げ機能に対して主導権を握るなら、彼らの多くがさらに安心するだろうと確信している」
ここで何が起きたのかについて、誤解の余地はない。Amazonは屈服したのだ。テキスト読み上げ機能に関心を持つKindleユーザーにとって、機器の価値は失われた。
9000人の作家を代表する業界団体の米作家協会(Authors Guild)は、2009年2月上旬にKindle 2が発表されるとすぐに、Amazonを非難し始めた。同協会の会長であるPaul Aiken氏は2月25日、Amazonは協会との話し合いで強硬な立場をとっているとCNETに語った。また、米作家協会はこの問題をめぐって訴訟を起こす可能性があるという。
「コンテンツにアクセスする新しい手段が登場するときはいつでも、ある種の収集業者が、コンテンツを管理して自分の手元に価値を保ちたいと考えるものだ」(Aiken氏)
ウェブユーザーと技術企業の権利を擁護する団体、電子フロンティア財団(EFF)の上級弁護士であるFred von Lohmann氏は、Amazonが敢えて、テキスト読み上げ技術が著作権を侵害していないと考えていると表明したことを、好意的に受け止めていると述べた。
「それにもかかわらず、Amazonは、著作権保有者がこの機能を利用するかどうか自分で判断できるようにすることにした。著作権保有者にはそうする権利が与えられる。テキスト読み上げの問題は、別のイノベーターが現れるまで持ち越されるだろう」(von Lohmann氏)
von Lohmann氏は、多数のPCがテキスト読み上げ機能を搭載しているが、それについては米作家協会はこれまで反対していない、という点を指摘した。「おそらくAppleは用心すべきだろう」(von Lohmann氏)
Amazonが譲歩した理由は容易に理解できる。最も頼れる支持者たちでさえも、近い将来にテキスト読み上げ機能がオーディオブックに取って代わることはないだろうと述べている。コンピュータの音声を人間の声に似せることはできても、読み上げる内容を理解していないので、強調を加えたり劇的に表現することができず、そうした状況は当分続くだろう、と専門家らは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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