ハリウッドの映画会社は米国時間9月30日、RealNetworksのソフトウェア「RealDVD」の販売差止命令を求めて米連邦裁判所に提訴したことを正式に発表した。RealDVDを使うと、映画をコピーしてハードディスクに保存することが可能になる。
最大手の映画スタジオ各社が加入する全米映画協会(MPAA)は、「RealNetworksのRealDVDは、DVDに組み込まれた著作権保護機能を違法に回避しているため、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に違反している」として、ロサンゼルスの米連邦地裁に訴えを起こした。
損害賠償も請求しているMPAAの関係者らは、裁判所が9月30日か10月1日にも差止命令を決定することを希望していると述べた。
メディア配信企業のRealNetworksは9月30日、映画スタジオ各社とDVD著作権管理協会(DVD CCA)を相手取って訴訟を起こし、この争いで最初の一撃を加えた。
RealNetworksの訴状は、裁判所に対し、同社のRealDVDが「DVD CCAのライセンス契約を十分に順守している」と認める裁定を出すよう求めている。同社は、RealDVDがDVDをハードディスクにコピーする際に暗号化を破ることはないため、裁定が得られると確信している(同社によると、RealDVDは別のデジタル著作権管理機能も追加しているという)。RealNetworksの主張によると、RealDVDの手法は、ハイエンドの家庭用メディアサーバを提供するKaleidescapeに採用されている手法と似ているという。
RealNetworksは、KaleidescapeがDVD CCAに勝訴した2007年の裁判を、RealDVD訴訟の判例として指摘している。
一方のMPAAは、2つの訴訟はまったく関係がないと述べている。映画会社のロビー団体であるMPAAは、コピー防止措置を回避する製品の開発を企業に禁じたDMCAに、RealDVDが違反しているかどうかが問題の中心だと主張している。
MPAAのエグゼクティブバイスプレジデント兼法務担当役員のGreg Goeckner氏は声明の中で、「RealNetworksのRealDVDはStealDVDと呼ばれるべきものだ」と述べている。「RealNetworksは、同社の製品が法律に違反していることを知っており、米国の映画会社と技術コミュニティーの間にようやく育ってきた信頼関係を傷つけている」
映画会社が懸念しているのは、RealDVDによって「レンタルして、リッピングして、返却する」行為が可能になることだ。映画DVDをレンタルしてハードディスクにコピーし返却することが、承認された複製のための費用を支払うことなしに可能になる。
MPAAは声明の中で、同協会は複数のプラットフォームでコンテンツを入手可能にしており、映画の合法的な入手は以前にも増して簡単になっていると述べた。しかし、映画スタジオ各社は、「(われわれは)権利を積極的に擁護し、明らかに違法で消費者を誤りに導く製品を企業が発売するのを阻止する」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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