デジタル私的録音問題に関する権利者会議および賛同団体は4月4日、都内で合同記者会見を開催。前日に行われた文化庁の「第1回私的録音録画小委員会」における社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)委員の発言について「高く評価したい」(実演家著作隣接権センター常任理事の椎名和夫氏)との声明を発表した。
デジタル私的録音録画問題をめぐっては2007年10月、JEITAが文化審議会 私的録音録画小委員会の中間整理を受けて「技術的にコピー制限されているデジタルコンテンツの複製は著作権者等に重大な経済的損失を与えるとは言えず、補償の対象とする必要はない」とコメントし、録音録画に対する補償金制度は不要だとする見解を公表。これに対し権利者87団体が、JEITA会長の町田勝彦氏(シャープ代表取締役会長)宛てに質問状を送付すると、JEITA側担当者がメディアで「(質問状に)回答する気はない」と言明。一触即発の状況となった。
その後、町田氏が自ら権利者団体に対して質問状に関する書簡を送付。また、2007年12月18日に開催された文化庁「第15回私的録音録画小委員会」において示された「著作権の保護技術によって、私的利用の複製が管理できるようになれば、著作権者は使用料を徴収できるようになるため補償金は不要になる」とした文化庁の案について「JEITAとして尊重」する意向を表明、緊張が緩和される方向に向かっていた。そして今回、4月3日の小委員会でJEITA委員が「文化庁案に沿ってバランスの取れた解を見つけるために真摯に努力する」と発言したことと受け、権利者側が対応変化に一定の理解を示す形となった。
2008年12月に示された文化庁に対して権利者団体側は「経済的利益を損なうことなく利用者の利便性が高まるのであれば」(椎名氏)と譲歩する構えを見せていた。ただし、全面的な譲歩については否定的な方針で「(6月2日の)ダビング10実施までに補償金問題が解決されなければ、(ダビング10の実施を)先延ばししてもらうことになる。今、ボールはメーカー側にある。あとはメーカーがどう対応するか」とけん制した。
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