Appleが新型「iPod」に「Mac OS X」を本当に搭載するなら、MTVのリアリティ番組「The Hills」の再放送を高画質で見るといったこと以上の機能向上を、同社は思い描いているはずだ。
Appleやモバイルコンピューティングの未来を話題にするとき、最近はすぐに「iPhone」に目が向いてしまう。Appleでは、携帯電話市場への参入は複数年をかけた戦略だと称しているが、最初の3か月間だけでiPhoneの売り上げは100万台を達成しようという勢いだ。
しかし、Appleにはもう1つのモバイル機器がある。それがiPodだ。仮に、ずっと流れていたうわさが本当だったということが、米国時間9月5日に開かれる最新のSteve Jobsショー(サンフランシスコのモスコーニセンターで開催される製品のプレゼンテーション)で明らかになるとしたら、iPodは今よりもはるかに強力なデバイスになるだろう。
Appleによる携帯型音楽およびビデオプレーヤー、iPodの第6世代は、大型画面を搭載してiPhoneそっくりの外観になるというのが、かなり有力な予想のようだ。また、新型iPodは、iPhone同様に機能縮小版のMac OS Xを搭載するという予想も、的中の可能性が高そうだ。これは、iPhoneの発売前日にApple従業員との会合でJobs氏自身がほのめかした内容でもある。
音楽やテレビ番組を再生するだけなら、高性能なオペレーティングシステムは必要ない。ゆえに、Mac OS Xが導入された時点で、iPodはただのガジェットではなくなる。では、いったい何になるのか? iPhone同様、ガジェットとPCの中間のような存在になるのだろうが、これはPC業界にとっては、扱いの難しい分野だ。
PC業界は再び、厄介な岐路に立たされているようだ。PCはもはや、見慣れた製品だ。誰もがPCを必要とし、誰もが使っているが、新しいPCを買うことに興奮することはもうない。
その結果、PC業界は先を争うように、必死で次のヒット商品を探している。それはタブレットPCだろうか? いや、違う。家庭用メディアセンターだろうか? そうかもしれないが、その時代はまだ先だ。デジタルテレビは? これはいまだに消費者向け家電業界の領域だ。
そんな中、6年前にiPodをリリースしたAppleは、次なる目玉製品を見つけたと言えるだろう。ナップスター化(Napsterize)した曲をすべてポケットに入れて持ち歩きたいというニーズの存在を察知した企業は、Appleが最初ではなかった。ただ、Appleがこのニーズを最大限に利用した企業であることは確かだ。事実、デジタル音楽プレーヤーが欲しいという米国人の70%以上は、iPodを購入している。
だが、iPodの主要機能はたった1つだけだ。ただし、その1つをiPodは見事にやり遂げている。もちろん、iPodには連絡先や予定を保存できるし、ゲームも遊べる。だが、こうしたゲームは、10年前でもつまらなく見えたであろう代物だ。それに、病院の予約を確実に覚えておくためにiPodを購入する人はいない。
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