サンフランシスコ発--Apple Computerの最高経営責任者(CEO)Steve Jobs氏が米国時間1月9日午前9時より、Macworld Conference & Expo 2007で基調講演を行っている。ここではその講演状況を時間軸に沿ってお届けする。
会場内の誰もがSteve Jobs氏の登場を待っている。良い席を確保しようと、夜明け前から会場の前には多くの人が並んでいた。今日は、Appleがデザインした携帯電話やiTVが発表されるものと期待されている。
Jobs氏がJames Brownの「I Feel Good」の音楽にあわせてステージに現れる。やはり、服装はタートルネックといういつものカジュアルなスタイルであった。
「今日は歴史的な日になる」と同氏は述べる。
Jobs氏は「われわれはかつて、Intelプロセッサへの移行を12カ月間で行うと宣言したが、実際はこれを7カ月で成し遂げた。OS XのIntelプロセッサへの移行はすばらしかった。Power PC版のアプリケーションがIntel版Mac OS Xで動くようになったのはRosettaソフトウェアのおかげだ」と述べる。
「これは、われわれだけで成し遂げたわけではない。たくさんの仲間の助けがあってこそ、実現したものだ。Intelの新しい仲間がわれわれを支援してくれた。本当に感謝している」
「ここ1年間は、われわれにとってすばらしい年だった。ユーザーの皆様にも感謝したい」
「Macは現在、あらゆるチャネルで販売されている。そして購入者の半分以上がそれまでMacを所有したことのない人たちである」
Jobs氏がこれまでiTVと呼ばれていたものを紹介。正式名称は「Apple TV」になるという。Jobs氏はこれを、自分のコンテンツをテレビで楽しむためのものと説明する。
Apple TVには無線通信を介して、PCやMacからコンテンツを転送することができるという。「もっとも、自分はMacを使うが」とJobs氏。
Apple TVは40Gバイトのハードディスクを備え、50時間分のビデオを保存できるという。
同製品は802.11n規格に対応する。Intelプロセッサを備えるとJobs氏は述べたが、どのプロセッサなのか具体的には言及しなかった。
Apple TVは最大5台のコンピュータからコンテンツをストリーミングできる。ただし、オートシンクの場合は、1台のコンピュータからとなる。
「iPodをセットするのと同じ感覚でTVもセットして欲しい」とJobs氏は述べる。
テレビ番組を購入した場合に、それがApple TVに自動的にストリーミングされたり、ハードディスクに保存されたりするように設定することが可能だ。
2つ目の発表は革新的なモバイル電話であるとJobs氏は述べる。
「その名もiPhoneだ」とJobs氏。「今日、Appleは電話を作り変える。これがその製品だ」
Jobsがとりだしたのは昔のダイヤル式の電話を彷彿とさせる偽もののiPodだった。もちろんこれはジョークだ。
Jobs氏は「いろいろな機能をもつ、スマートフォンというカテゴリの製品について話したい。ただちょっと問題があって・・・実はこの製品はそんなにスマートじゃないし、簡単に利用できるものでもない」という。
「従来製品のユーザーインターフェースについて話をしよう。従来製品が抱えていた問題といえば、ボタンだ。配置も本当にこれでいいのか分からないし、コントロールボタンは決まってプラスチック製だ。本当は個々のアプリケーションにあわせてボタンのセットを用意する必要があるのではないか」
「ボタンなどの設定を変えられなければ、機能もうまく使いこなせない。こう思い悩んだ」
「われわれはこの手の問題を解決した実績がある。20年前、われわれはコンピュータの世界でこれを解決した。ビットマップのスクリーン、そしてポインティングデバイス。この問題を解決したのはマウスだった」
「では、携帯端末の場合どうするか。まず、これらすべてのボタンは必要ないと考えた。その代わりに大きなスクリーンを用意しよう。スタイラスペン?そんなものは使いたくない。採用は見送ろう」
「われわれのスタートポイントになったポインティングデバイスに立ち返ろう。そこで誕生したのが『マルチタッチ』という技術。スタイラスペンも要らないし、これまでのどのポインティングデバイスよりも正確。そう、この技術で特許も取得済みだ!」
「マウスにクリックホイール、それからマルチタッチ。市場にたくさんの革新的なユーザーインターフェースを投入できて幸せだ」
「このインターフェースにソフトウェアがのる。この携帯電話のソフトウェアはとても大切なものだ。ここではどの携帯電話と比較しても、5年は先をゆくソフトウェアをご紹介しよう」とJobs氏は述べる。
まず、iPhoneではOS Xが動く。
「モバイル端末にこんなに洗練されたOSを搭載する必要がなぜあったのか。もちろん、このようにしたのは必要があったからだ。この端末はパワーマネジメント機能、マルチタスキングなどを搭載する」
「まずわれわれは洗練されたソフトウェアをモバイル端末上で実現した。次は、iPodで学んだことを活用する。iTunesとの同期だ。人々はすでに、メディアをiPodと同期させる方法を知っている。次はiPhoneで同じことをする」
iPhoneのスクリーンは1インチあたり160ピクセルで厚さは11.6mm。コントロール機能は側面についている。「とても豪華なつくりになっている。ボタンは1つだけ。ホームボタンだ」
iPhoneは2メガピクセルのカメラを搭載し、SIMカードを装着することが可能になっている。
人が近接するとそれを検知する機能をもち、ユーザーの顔が近づくとiPodをオフにして電話機能をオンにしてくれる。
iPhoneはCiscoの商標であるにも関わらず、Jobs氏は新しい携帯電話をiPhoneと呼び続ける。
Jobs氏が電話を使ったデモを開始。同氏は電話のアプリケーション、フォト、カレンダー、テキスト送信をして見せた。
「iPhone」という語の使用について、CNET News.com記者にCiscoから電話が入る。
Ciscoの担当者は次のように述べる。「Ciscoが所有するiPhoneの商標を向こう何年間か使わせて欲しいと、Appleからたびたび相談された。何度も話し合いを行ってきたが、本日のAppleの発表を見る限り、同社は、われわれがAppleに昨夜配信した最終ドキュメントに合意したようだ。もっとも、合意にいたっていない事項もいくつか残っている。それについても今日サインしてもらえるものと期待している」
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力