Microsoftは、音楽プレーヤー「Zune」の売り出しに際し、家庭用ゲーム機の初代「Xbox」と同規模の販促キャンペーンを展開した。しかし、発売から1カ月が過ぎた今、同社はZuneの認知度を高めるため、広告キャンペーンのさらなる拡大を検討している。
MicrosoftのマーケティングディレクターJason Reindorp氏は先週、CNET News.comの取材に対し「われわれは、もう少し販促活動に予算を割くことを検討しているところだ」と語っている。
さまざまな前評判を呼ぶ中、Microsoftは11月にZuneの販売を開始した。市場調査会社NPDの調査結果やオンラインショッピングサイトAmazon.comの販売実績を見ると、Zuneは、発売直後の1週間こそ好調な売れ行きだったが、その後は販売ランキングで順位を下げている。
さらに、最初の1週間に購入した客の多くは、新しもの好きなヘビーユーザー層であったと思われる。彼らは、Zuneを買って友だちと楽曲を共有してもらいたいとMicrosoftが期待しているような、流行に敏感な若者層ではない。ちなみに、Zuneに内蔵されているWi-Fi接続機能を経由して楽曲ファイルを共有することを、Microsoftは「squirt(噴出する、ほとばしるという意味)」と呼んでいる。
若者層を取り込むために、Microsoftはテレビコマーシャル、屋外広告、出版広告、オンライン広告を投入してZuneを宣伝し、18歳から28歳までの若者たちへの浸透を図ろうと努力している。しかし、それなりの販促予算をかけているにもかかわらず、Zuneの認知度を高めるのに、おそらくは広告費のさらなる増額が必要になることをMicrosoftは認識している。
Microsoftの当初の目標は、対象年齢層のおよそ4分の1にあたる人たちが、Zuneの広告を少なくとも3回は目にするようにすることだった。そこで同社は、「プリズン・ブレイク」「Family Guy」「グレイズ アナトミー」など、テレビの人気ドラマでコマーシャルを流し、「Scratch」「Paste」「SPIN」「VIBE」「Rolling Stone」などの雑誌に広告を載せている。また、AOL、Billboard.com、MTV、そしてもちろん自社で運営するMSNなどのウェブサイトにオンライン広告を展開している。
Microsoftによれば、Apple Computerの「iPod」の広告は「一大センセーション」を起こしたが、Zuneではそこまでのレベルで張り合うつもりはないという。
「Zuneが、短期間でiPodと肩を並べるほどの大きな認知度を獲得できるとは考えていない。そこまで求めるのは無謀なことだ」と、Zuneのブランドマーケティング担当グループマネージャーのPeter Kingsley氏は電子メールの中で語っている。
Kingsley氏によると、Microsoftの目標は、Zuneのブランドを確立し、ワイヤレス共有の機能を強調することだという。Microsoftは、広告を利用してiPodと「全く対照的な」ポジションを確立したいと考えているようだ。
「広告に対するわれわれの基本的な考え方は、すばらしいアーティストと、本物の良さを知る人たちの価値をさらに高めるのがZuneという、本格派のブランドイメージを確立することだ」とKingsley氏は言う。
しかし、NPDのアナリストRoss Rubin氏によれば、Microsoftのアプローチは、より認知度の高い競合他社のApple Computerに比べてやや地味だという。
「Apple Computerが展開する大量の広告に比べるとやや控えめだ」とRubin氏は指摘する。
ただし、Rubin氏は、異なった戦略にもそれなりの意味があると考えている。シルエットを使った大胆な広告とともにiPodが売り出された当時、Apple Computerが試みたのはデジタル音楽プレーヤーそのものについて知ってもらうことだった。「しかし、Microsoftはかなり遅れてこの市場に参入してきたため、Apple Computerとは違った面を強調する必要がある」とRubin氏は言う。
一方で、Microsoftは、さらなる展開に備えて今は待ちの状態にあるとも考えられる。今のところ、Zuneにはハードディスクを搭載した1機種しかなく、動画を販売するオンラインショップもまだ開設されていないからだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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