テレビの価格が予想を上回る速さで下落している。これは、Sony Electronicsにとってあまり喜ばしいことではない。
2006年の液晶テレビの販売価格は、25〜30%下落すると見られている。Sony ElectronicsプレジデントのStan Glasgow氏は、先週サンフランシスコで開催された記者との会談で、これは同社の予想を5〜7%上回ったと述べた。
この傾向は消費者にとって好ましい状況であるが、こうした価格の急落が、家電メーカーの体力を奪い、未来の技術への投資を困難にするため、業界全体に打撃を与える、とGlasgow氏は指摘する。しかし、少しでも安い商品を探そうとする倹約的な消費者の中で、この同社の懸念に共感する人を発見することは難しいだろう。
Glasgow氏は、「液晶の大幅な価格下落は今後も続くが、現在の(下落)水準ではない」とし、さらに「(大幅値下げを行う)ビジネスモデル自体が持続可能か不透明だ」と語った。
Glasgow氏がこのような発言をする1つの理由として、当然ながら、メーカーによる値下げに嫌気がさしているという事情が挙げられる。一方、アナリストらも液晶テレビやプラズマテレビの大幅な価格下落は予想外だったと認めている。
市場調査会社NPD Techworldのアナリスト、Steve Baker氏は、「価格は猛烈な勢いで下落してきた」とし、さらに次のように続けた。「ブラックフライデーには、より多くの大手企業が予想以上の積極的な値下げを行った。大手までもが泥沼の戦いに巻き込まれたのには驚いた」
例えば、格安プラズマテレビメーカーのVizioは42型プラズマテレビを999ドルで販売したが、Panasonicもまた、42型プラズマテレビをおよそ1300ドルで売り出した。
この大幅な価格下落には、複数の要因が挙げられる。Baker氏によると、液晶テレビ、プラズマテレビメーカーは、主力の40〜49型テレビの市場をめぐる縄張り争いに躍起になっているという。多くのメーカーはまた、ドイツで開催されたサッカーワールドカップの決勝トーナメント前の特需を見込んで欧州に大量のテレビを出荷したが、予想したほど売れなかった。そのため、各メーカーは余剰在庫処分に追われている。
消費者はより大型で、よりデザインに凝ったテレビを購入しようとしているが、彼らは1年前よりはるかに安い価格で購入するつもりだ。そのため、(メーカー側の)販売利益を圧迫する。さらに、液晶テレビメーカーの数もソニーのような大手企業に対する圧力となっている。調査会社IDCのアナリスト、Bob O'Donnell氏の推計によると、現在、90社近い液晶テレビメーカーが存在するという。
O'Donnell氏は「液晶テレビメーカーなど明日にでも設立可能だ。いくつかのパネルと回路を購入し、台湾の委託製造業者を見つければ、もうこれで立派な液晶テレビメーカーだ」とし、さらに「このような環境なので、多くの人々が生き残りをかけて戦っている」と付け加えた。
Glasgow氏はO'Donnell氏に同意した上で、消費者は格安製品を探す中で品質の問題に直面する可能性があると付け加えた。
Glasgow氏は「(格安テレビメーカーの製品は)いくつかの市販部品を詰め込んだだけかもしれない」と述べ、さらに「そんな製品が一体どれだけ持つのか」と指摘した。
新しい形態の小売店も従来の電気店と競合しているため、値下げを行っている。例えば、Sony Electronicsのコンシューマーセールス担当プレジデント、Jay Vandenbree氏によると、このホリデーシーズンはHome Depotがテレビのプライスリーダーの1社だったという。
Sony Electronicsは競争力を維持するため、ブラックフライデーに数種類のテレビの価格を密かに数百ドル値下げしたが、大々的な宣伝は行わなかった。その後、価格は再び引き上げられた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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