ソフトウェア会社がハードウェアを手がける理由--マイクロソフトが描く遠くない未来

坂本純子(編集部)2006年09月19日 19時04分

 マイクロソフトが手がけるマウスやキーボードなどのハードウェアは、人間工学に基づいたデザインを取り入れており、その評価も高い。その舞台裏には、人間工学の専門家やリサーチャー、エンジニアなど、約200人ものスタッフがいるという。

 マイクロソフトは9月13日〜15日(米国時間)に行ったイベントHardware Launch Event 2006で、いかにハードウェアに力を注いでいるかを記者たちに説明してきた。そこでふと疑問に思うのは、「なぜソフトウェア会社がハードウェアをこれほど真剣に手がけるのか」ということだ。

 この答えは明快だった。「ハードとソフトの垣根がなくなってくる。ソフトの会社がハードにも積極的にかかわっていかなければならない理由はそこにある」と、Worldwide Director of Marketing & Partner Development Microsoft HardwareのMatt Barlow氏は語る。

ディスプレイに雑誌をスキャン ディスプレイに雑誌をスキャン

 トム・クルーズ主演の映画「マイノリティ・リポート」に登場したデータを操るシーンを覚えているだろうか。巨大なディスプレイに手にグローブをした手ををかざす。マウスなどなしに、手で必要なデータを引き寄せたり、飛ばしたりとジェスチャーでオブジェクトを操作するあのシーンだ。

スキャンしたオブジェクトを動かすこともできる スキャンしたオブジェクトを動かすこともできる

 会場では、それに近いことを実現するデモ映像が公開された。透明なパネルディスプレイに手をかざすと、手の動きをマウスのような動きをしたり、雑誌を簡単にパネルディスプレイスキャンできたりする。さらにそのスキャンオブジェクトを手で動かすこともできるのである。

 デモ映像では、パネルディスプレイだけでなく、投影した机の映像でもインタラクティブに手でタッチしながら操作できていた。

投影した机の映像でもインタラクティブに手でタッチしながら操作可能 投影した机の映像でもインタラクティブに手でタッチしながら操作可能

 要は、ディスプレイひとつとっても、マイクロソフトの描く将来には、現在のような形のディスプレイはない、というわけだ。「これを体験してもらえるときがすぐにやってくる」と、未来は遠くないことをアピールした。

見かけはふつうのテディベア(左)。しかし顔を認識する能力を持ち、どこにだれがいるのか認識することもできる。右はテディベアが人を認識する映像(右) 見かけはふつうのテディベア(左)。しかし顔を認識する能力を持ち、どこにだれがいるのか認識することもできる。右はテディベアが人を認識する映像(右)

 マウスやキーボードなどを担当するこの部門は、Xbox360やWindowsゲームなどを手がけるRobert J. Bach(ロビー・バック)氏がトップに立つ。同氏はエンターテイメント&デバイス部門のプレジデントとして、4つの部門を担当している。

レーザーポインターとプレゼンテーションコントローラ、メディアリモートの4つの機能をひとつに集約したノート向けマウス「Wireless Notebook Presenter Mouse 8000」 レーザーポインターとプレゼンテーションコントローラ、メディアリモートの4つの機能をひとつに集約したノート向けマウス「Wireless Notebook Presenter Mouse 8000」

 同氏の指揮のもと、「Connected Experiences」をテーマに、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを統合していく考えだ。そのひとつとして、先日発表されたハードウェア13製品のほとんどには、Windows LiveやVistaへの接続機能が搭載されている。そのことからも、その並々ならぬ意気込みは見えてくる。

 なお、デモの内容からは少々外れるが、マイクロソフト米国本社にあるセミナールーム「Center for Infomation Work」の内容の一部をウェブサイト上で見ることができる。非公開として撮影が許可されなかったが、マイクロソフトのホームページにて一部映像が公開されているようだ。映像のうち、一番最後の部分でマイノリティ・リポート風のデモ映像が見られる。実際に見たデモでは非常に驚いたのだが、公開映像を見ると実際に見たデモと操作の間合いが似ている。リアルタイムでディスプレイをタッチして操作できるのか、イメージなのかは不明。

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