インテルの400ドルノートPC、デジタルデバイドの克服を目指す

文:Michael Kanellos(CNET News.com) 翻訳校正:河部恭紀(編集部)2006年06月16日 12時57分

 子供たちにノートPCを与えたら何が起こるのか。Intelのチャネルプラットフォームグループ担当バイスプレジデントWilton Agatstein氏は、いろいろなケースを予想している。落としたり、なくしたりするばかりでなく、遊びに没頭して授業をさぼってしまうかもしれない。

 Intelが開発途上国の幼稚園児から高校生までを利用対象として開発している、400ドル以下の「Classmate PC」に、ハードドライブではなく1GBのフラッシュメモリが利用されるのはこうした理由があるからだ。つまり、アクシデントにも耐えられるような作りになっている。

 Classmate PCには、万が一に備える対策として資産管理ソフトウェアも搭載され、PCが教室外に持ち出されてから一定日数を経ると、自動的に使用不能になるという。

 また、両親や教師があらかじめ禁止したウェブサイトへのアクセスや、プログラムの追加を子供が行えないように調節されている、Windowsの特別なバージョンを利用することになる。

 授業中に威力を発揮するソフトウェアも搭載される。これは、子供がクラスの途中でインターネットを閲覧しようとすると、「先生の話を注意して聞きましょう」というメッセージを表示するというものだ。

 外観は5月にPaul Otellini氏が発表したものとよく似ており、ピンク色の合皮カバーで覆われている。カリフォルニア州サンタクララに拠点を置くチップメーカーのIntelは、デジタルデバイドを埋める道具としてのパーソナルコンピュータ開発を進めているが、Classmate PCはそうしたマシンの第1弾に位置づけられる。

 現時点では、マサチューセッツ工科大学のNicholas Negroponte氏やMicrosoft、複数のシンクライアント企業や電話機メーカーなどを含む個人および組織が、アフリカ、アジア農村部、ラテンアメリカに各種の機器を提供し、インターネット利用を実現している。各所の予測によると、2010年までに10億台以上のPCがインターネットに接続される見込みだという。

 とはいえ、それでも先端技術を利用できない人々の数は55億人に上り、しかも彼らには金銭的余裕がない。Intelのチャネルプラットフォームグループでゼネラルマネージャーを務めるBill Siu氏は、世界では8億人が2万5000ドル以上の年収を得ていて、そのうち70%がコンピュータを利用していると話す。一方、年収が1000ドルから2万5000ドルまでの47億人のうち、コンピュータを利用している人の割合はわずか10%だ。年収1000ドル以下の人々は10億人を数え、ほぼ全員がコンピュータを利用できていない。

 Siu氏は、世界中のソフトウェアおよびコミュニケーションツールがすでに各地域の言語に対応していることから、こうした市場を取り込むにはPCこそが最適な製品だとしている。「Simputer」やNegroponte氏が開発した100ドルノートPCなどのデバイスは、主流にはならないと同氏は述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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