この資料は、iPodなどをはじめとするハードディスク内蔵型録音機器などによる私的録音により、著作権者・著作隣接権者への経済的な影響がどれくらい発生するかを試算したものだ。
資料によると、著作権法第30条1項の適用を受けない場合(iPodなどを私的録音補償金制度の対象に含まず、複製権の許諾を新たに必要とする利用形態とした場合)で約486億円、第30条2項の適用を受けた場合(MDなどと同様に、私的録音補償金制度の対象に含む場合)約18億円の経済的な影響が発生するとしている。
資料の詳細は以下のとおり
【著作権法第30条1項の適用を受けない場合】
(1)著作権者に対する経済的影響
8.1円(※注1)×260.3曲(※注2)×535万台(※注3)×1.05%(消費税)=118億4410万5525円(約118億4410万6000円)
(2)著作隣接権者に対する経済的影響
邦盤
22.68円(※注4)×190曲(※注5)×535万台×1.05=242億693万1000円
洋盤
31.73円(※注6)×70.3曲(※注5)×535万台×1.05=125億3050万2232円
邦盤+洋盤
367億3743万3232円(約367億3743万3000円)
(1)と(2)を合わせた経済的影響
(1)著作権者に対する経済的影響+(2)著作隣接権者に対する経済的影響=485億8153万9000円(約486億円)となる。
※注1:JASRAC使用料規定による演奏時間5分まで1曲の録音使用料
※注2:NRIへ委託したウェブ調査の結果による、iPodなどハードディスク内蔵型録音機器所有者1人あたりの保有楽曲数平均
※注3:録音権利者7団体調査による、2002年から2005年のデジタルオーディオプレーヤー出荷台数。2005年度は見込み
※注4:著作隣接権者には公表された録音使用料が一定でないので、一般的な原盤印税率16.8%と著作権使用料率6%の比率を求め、それに8.1円を乗算したもの
※注5:注2の調査結果による、邦盤/洋盤比率が73:27となっている。これに保有楽曲数平均の260.3曲を乗算したもの
※注6:注4同様に、洋版の一般的な原盤印税率23.5%と著作権使用料率6%の比率を求め、それに8.1円を乗算したもの
【著作権法第30条2項の適用を受けた場合】
ハードディスク内蔵型録音機器
426.1円(※注7)×535万台×0.53(※注8)×1.05=12億6861万6878円(約12億6861万7000円)
フラッシュメモリ内蔵型録音機器
216.5円(※注9)×535万台×0.47(※注8)×1.05=5億7160万8713円(約5億7160万9000円)
ハードディスク型+フラッシュメモリ型
18億4022万6000円(約18億円)
※注7:私的録音録画補償金の対象とした場合、現行制度での補償金単価は以下のとおり計算される。ただし、現行制度では機器と記録媒体への補償金比率が別々指定されていることから機器の金額を機器分80%、媒体分20%と分けて仮定している。また、ハードディスク内蔵型録音機器のカタログ価格が存在しないため、BCN総研調べの国内シェア上位3社の商品を抜粋し、価格.comにおける6月14日時点の平均小売価格の平均価格をカタログ価格相当額として算出している。
抜粋された機器はアップルのiPod(20Gバイト)、iPod mini(4Gバイト、6Gバイト)、iPod U2 Edition(20Gバイト)、iPod Photo(40Gバイト、60Gバイト)、ソニーのNW-HD1(20Gバイト)、NW-HD2(20Gバイト)、NW-HD3(20Gバイト)、NW-HD5(20Gバイト)、Rio JapanのRio Carbon(5Gバイト)の11点で、平均小売価格は3万1803円
これを先ほどの計算式に当てはめると
機器 3万1803円×80%(按分率)×65%×2%=330.7円
記録媒体 3万1803円×20%(按分率)×50%×3%=95.4円
機器+記録媒体=426.1円となる
※注8:注2の調査結果による、ハードディスク内蔵型録音機器/フラッシュ内蔵型録音機器の所持者比率が53:47。
機器 カタログ価格×80%(按分率)×65%×2%
記録媒体 カタログ価格×20%(按分率)×50%×3%
※注9:注7同様の計算式で算出。抜粋された機器はアップルのiPod Shuffle(512Mバイト、1Gバイト)、ソニーのNW-E407(512Mバイト、1Gバイト)/NW-E507 1Gバイト、リオ・ジャパンのRio SU10(512Mバイト)/Rio SU35(256Mバイト)/Rio SU70(512Mバイト)の8点で、平均小売価格は1万6158円
機器 1万6158円×80%(按分率)×65%×2%=168.0円
記録媒体 1万6158円×20%(按分率)×50%×3%=48.5円
機器+記録媒体=216.5円となる
この資料については、「このような計算で実際の経済的な影響を計算できるのか」といった意見や、同資料が速報版とのことで、正式版の提出を求める声が挙がった。
次回の小委員会は10月末から11月にかけて開催される予定。パブリックコメントの結果なども公表される予定だ。
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