カリフォルニア州クパチーノ発--この1年で株価が2倍以上にはね上がったApple Computerで米国時間21日に株主総会が開かれたが、株主らの関心は環境問題や女性重役の割合などの問題に向けられていた。
同社CEOのSteve Jobsは、リサイクルをはじめ、さまざまな環境問題に対する同社の実績を示し、この分野で同社の取り組みを弁護した。株主総会が開かれた本社の外では、この問題に抗議するデモが行われていた。
Appleはなぜ環境問題への取り組みにもっと力を入れないのかという質問に対し、Jobsは質問者に謝意を示した後、同社の環境への取り組みに関する長い演説を始めた。そのなかで、Jobsは同社が2004年にリサイクルプログラムを通じて1500トンの資源を回収し、その90%に相当する約1360トンのキーボード、マウス、コンピュータをリサイクルできたと指摘した。
Jobsによると、Appleは環境に対する責任を非常に重く受け止めており、環境問題では業界をリードしているという。同氏はまた、業界各社のなかでAppleだけが批判されていることに、極めて強い言葉を用いて不満を表した。
Jobsは、製品のリサイクルは無償で行うべきだとする環境活動家の意見に異議を唱えた。
「30ドルという請求額は妥当な金額だと思う」と同氏は語り、PCのフルセットを回収するのにDellでは約20ドル、またHewlett-Packard(HP)は約40ドルをそれぞれ請求していると指摘。しかし、Jobsが話をしている間に、HPとDellの両社は「地球の日」キャンペーンの一環として、製品の回収手数料を少なくとも一時的に引き下げてしまった。
Gopal Dayaneniという別の環境団体のメンバーは、Jobsが先週この団体に電話をかけてデモの中止を求めておきながら、この問題について時間をかけて話し合おうとしなかったとして、同氏を非難した。
一方、この1月からAppleに抗議するキャンペーンを続けている活動家らは、「It's Earth Day、not trash the earth day(『地球の日』は『地球を台無しにする日』ではない)」あるいは「Steve、don't be a bad apple(スティーブよ、腐ったリンゴになるなかれ)」などと書かれたプラカードを掲げていた。
「Appleには率先して活動しているというイメージがあるのかもしれないが、実際にはかなり受け身だ」と先ごろSilicon Valley Toxics Coalitionの理事に就任したSheila Davisは言う。「HPやDellなどの他社では、実際に取り組みが前進している」(Davis)
とりわけ、抗議者の非難が集中していたのがiPodのバッテリだった。Appleは、ユーザーでも簡単にバッテリを交換できるようにはしておらず、また新品への交換に100ドルという本体と比べても相当高い料金を設定している。そのため、「大半のユーザーがiPod本体を捨て、新しいものに買い換えている」とDavisは述べた。
Jobsはこの点に異論を唱え、まずバッテリを簡単に交換できるようにしてしまうと、ユーザーが使い終わったバッテリをそのままゴミ箱に捨ててしまうおそれがあると述べた。また同氏は、iPodのバッテリを正規に交換したユーザーの数はこれまでで数十万人に上っているほか、同社では使い終わったバッテリを適切な方法で処理していると説明した。さらに同氏は、iPodにはわずかな量の鉛しか含まれていないが、CRTモニターのなかにはもっと危険な化合物がたくさんあると述べた。AppleではeMacを除く全機種でCRTモニターの採用をすでに止めている。
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