日本人が生み出した不思議の国のデスクトップ、それがSun Microsystemsの提唱するProject Looking Glassだ。同社のソフトウェアCTO部門シニアスタッフエンジニア、川原英哉氏の発案によるこの3Dデスクトップシステムは、アプリケーションを立体に表示させたり、回転させたり、半透明にさせたりと、二次元の世界では考えられなかったウィンドウの配置が可能となる。同社は31日、川原氏の来日に合わせ、Project Looking Glassに関するプレスセミナーを開催した。
Project Looking Glassの発案者、川原英哉氏 |
1984年にはじめてのGUI(Graphical User Interface)となるMacintoshが登場して以来、20年が経過した。当時のMacintoshのスペックは、8MHzのMC6800チップに128KBのメモリというもの。現在のPCがPentiumの1GHz〜3GHzのチップを搭載し、メモリも0.5G〜1GBにまでなったことを考えると、ハードウェアの進化は目をみはるものがある。「ところがGUIはほとんど変わっていない」と川原氏。Project Looking Glassは、「デスクトップをいかに革新させるかという挑戦だ」と同氏は説明する。
川原氏は、アプリケーションの数がどんどん増えているにもかかわらず、スクリーンサイズにはあまり大きな変化がないことも指摘している。「3Dデスクトップシステムでは、奥行きのある配列も可能で、狭いデスクトップ画面を有効活用することができる」と同氏は述べ、このシステムで新たなデスクトップ環境を提供できるとした。
このプロジェクトは、デスクトップを二次元から三次元へと変えるだけでなく、Windowsデスクトップの世界ではMicrosoftの技術者しか知り得なかった技術情報をオープンにし、デスクトップ環境の進化の方法を変えていくという目標も秘めているという。Sunではこの技術を6月よりオープンソース化し、
川原氏は、このプロジェクトが業界内でも注目されていると述べる。同氏が言うには、Microsoftが開発を進めている次期OS、Longhornのユーザーインターフェースが、1年前に公開していたものと比べて、今年5月のデモで公開したものに3D感が出ていたというのだ。さらに、Microsoftの同OSにおけるユーザーインターフェースのプロジェクト名はAero Glassと、まるでLooking Glassを意識したような名称がついていることも同氏は指摘する。
Project Looking Glassがいつ製品として登場するかは未定だとしながらも、川原氏の所属する部署は数年以内に実現可能な技術を研究するグループであり、製品化に向けた議論も進行中だという。今後はデスクトップ上で重力を感じさせるような物理シュミレーションを取り入れたいとしており、アプリケーションウィンドウがデスクトップ上で倒れたりぶつかり合ったりするというゲーム感覚のインターフェースも見られることになりそうだ。
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